その木の下で、随分前からご近所の方々と花見を楽しんでいる。場所とビールは提供するが、ご馳走は各々の奥さんが作って持って来てくれる。だから至って気楽な会で、お陰様でご近所とは長屋のような関係が出来ている。
その桜であるが、見ているだけで誰もが幸せな気分になる。夕方になると気温が下がって寒くなるので、一斗缶に枯れ枝を焚いて暖を取る。辺りが暗くなっても、酔いが廻って来ると時間が経つのも忘れて話が続く。これは本当に不思議な現象である。
この不思議は香りについても同じである。香水の魔力は女性の魅力を一層引き立てるのは勿論だが、最近は男性のオーデコロンもある。こちらは汗の香りがベースとか、だから汗臭い男も結構モテるのである。
「香水(Das Perfum)ある人殺しの物語」という小説があった。嗅覚に優れた男が、究極の香水を作る話である。彼は若い女性を殺し、そのシーツに染み込んだ体臭をろ過し、究極の香水を作ったのである。ただある時その殺人が発覚し死刑に処せられる事になった。処がその究極の香水をバラまくと、観衆は狂ったかのようなエクスタシーに満たされ、処刑を忘れてしまうのであった。
作者はドイツ人だが如何にもフランス的な作品である。フランス語でカエルという名前の男は、最後は陶酔から覚めた浮浪者に食べられてしまうオチも付いていた。
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