Monday, 31 March 2025
メテオラの修道院
Sunday, 30 March 2025
マロリーの手紙
Sunday, 16 March 2025
トランプ砲
Wednesday, 12 March 2025
アマテラスの暗号
Friday, 7 March 2025
老人と白米
先日の昼時、腹が空いて通り掛かった中華料理店に飛び込んだ。ただ入ると、白いテーブルクロスと豪華な装飾に圧倒された。「間違ったな?」と一度は出ようかと迷った。ただ外は寒いし所詮はランチなので、結局「まあいいか」と諦めた。
店内はガラガラで、「よくこんな店がやっていかれる?」と待っていると、暫くして白髪の老人が入ってきた。足取りが危なく、歩くのもやっとだったが、係の人が席に着かせた。その人は常連風で、昔は大会社の重役でもしていたような風格があった。
ウェイトレスは「いつものでいい?」と聞いた。ただこれにはビックリした。まるで居酒屋の女将さんが話すような感じで、立派な店には相応しくなかった。白髪の人の着ていたジャンパーはヨレヨレで、奥さんに先立たれたのか見すぼらしかった。そして遥々こんな店まで足を運ぶ余生に思いを馳せた。
その人は(いつもと同じの)麺と白米を食べていた。その(一日一回の)白米が何とも侘しかったのであった。店が立派だっただけに、そのコントラストが意地らしかった。
故吉村昭氏の短編小説「碇星(いかりぼし)」が10版を超えている。どれも人生の終わりに差し掛かった男の話である。デパートの喫煙所で毎日時間を潰す男達の成り行きや、定年後に会社から斡旋された葬儀会社の男が、元上司から死後の世話を頼まれるとか、中年女を後輩に世話する話など、場末の人間模様であった。
吉村さんは「長編小説を書いた後、2〜3カ月は放心状態になる。そんな時短編を書く」と言っていた。息抜きで筆が走ったのは分かるが、こればかり弱った男の暴露小説だった。もしも彼が存命なら、こんな復古版なんか許さなかったのでは?と思った。
老人は体力も衰え、人と交わる機会が少なくなるから喜怒哀楽がなくなり、預金も尽きるから行動範囲は狭くなるし、特に伴侶に先立たたれると食事に困る。やっと定年を迎え自由な生活が待っているかと思いきや、晩年になると坂は益々キツくなるのであった。
Wednesday, 5 March 2025
ボブ・ディランの映画
久々の雨日が続いている。こういう時は映画とグルメに限ると、久しぶりに都会に繰り出した。
まず映画だが、ボブ・ディランの若き日を描いた「名もなき者(A Complete Unknown)」である。音楽には余り詳しくないが、1960年代から始まったフォークソングの草分けで、ジョーン・バイズとも個人的に親しかったようだ。
実は彼が初来日した1978年に、武道館で行われたコンサートに行った事がある。とある人に連れて行って貰ったのだが、知っている曲は「風に吹かれて(Blowin'in the Wind)」だけだった。それ以外はロック風で、けたたましい響きは私の好みではなかった。
ただ今回映画を見てその理由がよく分かった。彼は60年代前半から活動を開始したが、4〜5年して弾き語りからロックに転向していたのだった。映画でも突然の変わり身に、観衆のフォークファンから不評を買うシーンがあったが、それこそが今回の作品の焦点だった。
もう一つは「孤独のグルメ」である。テレビでは時々観ているが、流石に映画になるとあまり期待しなかった。処がパリ・韓国、東京を舞台にした中々の出来で面白かった。いつも思うのだが、「他人のしかも中年男性が一人で食事するのを見て何が楽しい?」と不思議であるが・・・。
そしてグルメである。今回はミシュランの星が付いたラーメン屋があるというので行ってみた。それは新宿の「黄金不如帰(ホトトギス)」である。10席ほどのこじんまりした店で、半分以上の客は外国人であった。待つ事1時間、辿り着いたその味はとても複雑であった。「孤独のグルメ」の主人公になって楽しんだのである。