先日、とある女性が着ていたTシャツに目が留まった。そこには花模様のデザインに「Le jour de muguet」と描いてあった。女性にその由来を話すと、とても喜んでくれた。
「Le jour de muguet」はスズランの日の意味である。ヨーロッパ中では、毎年5月1日にスズランを贈るのが習慣になっている。
スズランは花言葉で「幸せが訪れる」や「幸福の再来」である。今にも折れそうで弱々しい白い蕾だが、健気に季節を彩っているのがとてもいい。
発祥はフランスである。昔の王様が民衆に贈ったのが由来とかで、フランスではその日だけ、一般市民が自身で栽培したスズランを売ることが出来る。
パリの街角には朝から自宅の机を持ち出して、スズランの束を並べて売る姿が風物詩になっている。
今では一束2ユーロ程度と聞くので300〜400円程度だろうか。中々捌けない人を見ていると、「だったら3束を4ユーロで売ればいいのに?」と思ってしまう。ただそんなせっかちな人はいない。売る人も買う人も、春の訪れを知るミュゲは格別な日なのである。