夏の終わりとは言え、首都のウランバートルは氷点下になろうとしていた。その寒い中、7機の軍用機で到着して真っ先に向かったのは、ザイサンの丘と呼ばれる戦勝記念碑だった。ソ連とモンゴルが共に戦って勝利した対日、対独戦のシンボルである。
ただ1939年のノモンハンの戦いは、日本・満洲軍が圧倒的な兵力不足で敗れたと言われていたが、ソ連の崩壊で被害は殆ど両者互角だった事が判明した。だからとても戦勝ではなかった。
もう一つ、記念碑にはソ連時代から燃え続いた聖火があった。それがベルリンの壁崩壊で消されてしまい、今では土台だけが残っている。そこに献花したプーチンも滑稽だが、ウクライナとの戦時下で、そこまでして過去の絆を深めたいロシアの孤立が浮き彫りになった。
プーチンが次に向かったのは、ノモンハン事件の時の将軍ジェーコフの記念館だった。そこでも献花し、最後に広場での式典に参加した。未明に4時間遅れの飛行機でやって来て、本来ならば日帰りするのが常軌であった。ただ今回はあえてホテルに一泊する配慮を示し、関係の重視を強調したのだった。
皮肉なもので、モンゴル人が好きな国は今では日本である。実際JICAが支援するインフラや人材育成が成果を出しているし、観光客も韓国に次いで多いという。その点ロシアからはウクライナとの戦争で逃れて来る人も多く、感情的には真逆の中の訪問になった。
余談だが、プーチンには影武者が三人いるという。話し方や仕草までそっくりらしいが、耳の形だけは整形出来ないので、見る人が見ると本人かどうか分かるらしい。モンゴルに来たプーチンは果たして本物だったのか、巷の噂になっている。
No comments:
Post a Comment