日本から首都のウランバートルまで飛行機で5時間、着くとマイナス15度、夜になると30度の極寒地であった。吐く息が直ぐに凍ってしまい、10分もすると眉毛は白くなった。
ただ市内は「ゲル」と呼ばれるテントから出るスモッグで汚れていた。ウランバートルは盆地なので、空気の流れが悪いのが原因らしい。星を拝むのは到底無理だった。
着いて最初に驚いたのは、凍結した道路で走る日本車の多さであった。中でも3台に2台はトヨタ車であった。人気の秘密はその耐久性という。一晩中外に出しておいても、エンジンが一発で掛かるのはトヨタだけという。殆どが日本から持ってきた中古車だった。 ネオンが灯るビルに、力士の日馬富士の名前があった。今では一貫教育の学校を経営していた。朝青龍もサーカスや不動産を買収し銀行まで持っていた。日本で活躍した人が、こうして第二の人生を母国で頑張るのはいい事だ。でも銀行となると、やや胡散臭い気もした。
そんなモンゴルの怪しげな金融事情をテーマにしたのが、暫く前にTBSの日曜劇場で放映された「VIVANT」である。堺雅人や阿部寛がインテリジェンスや公安に扮して大活躍していた。二転三転するストーリーは中々の出来である。原作は「半沢直樹」の福澤克維氏、国際的にも十分通用する出来は、諭吉の血かも知れない。
撮影は広大なゴビ砂漠や市内のロケに4カ月を費やした。現地スタッフを含めると1000人が制作に携わった国家プロジェクトであった。今ではその撮影スポットが観光名所になっていた。
日本から来る人に、猫ひろしもいた。夏に開催された高原マラソンで準優勝したようだ。彼はカンボジア国籍だから、わざわざビザを取ってやって来た。彼は名前に反して猫アレルギーというのも、笑いを誘っていた。
一緒に来たのが、アニマル浜口の物まね芸人だった。日本では無名の人だが、その名を「便座カバーよしえ」といった。芸はあの「気合だ!」一本である。モンゴルのトイレの便座には、取り外し可能なビニールカバーが付いているのに由来している。こういう処にはちょっと変わった人がいる。
No comments:
Post a Comment