ジェフリー・アーチャーや吉村昭も長年のファンである。ただ何故か女性作家は肌に合わない。シドニー・シェルダンの本で、Tilly Bagshaweという女性作家が書いているシリーズがあるが、インパクトが全然弱い。
ところが最近、旅の影響か塩野七生さんに凝っている。男勝りの文章のタッチがいいし、歴史上の主人公への思い入れが伝わってくる。以前何冊か読んだ時、馴染みのない地名と人名が、しかもカタカナで連発されて閉口した。ただ実際にギリシャやイタリアをゆっくり廻ると、少し地理感覚が共有できるようになって来た。
中でも、12世紀のローマ皇帝を描いた「フリードリッヒ二世の生涯」は良かった。第六次十字軍を任され、エルサレムを無血開城した英雄である。改めて当時のローマ帝国は現在のドイツまで伸びていた事や、シシリア王国が南イタリアを含んでいたのは興味深かった。アドリア海に面するプーリア地方も寒村のイメージだったが、そんな事ならもう一度訪れてみたくなった。
処で余談だが、コロナで流行った「検疫」の英語はQuarantineである。イタリア語の40から来ている。中世にペストが流行った時、ベネチアに入港する船は沖合のラグーンで、潜伏期間の40日を待機したのに由来しているという。塩野さんの本には、こうしたこぼれ話も沢山出て来る。
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