エンジェルトレールと称する灼熱の山道を歩く事13㎞、夕方には谷底に到着した。早速コロラド川に飛び込んで涼を取った。川沿いには多くの登山客が同じように寛いでいた。
夕食を取りそろそろ寝ようかと思った時、アメリカ人の男二人組が寄って来た。「これから登らないか?」という。どうやら私の持っていた懐中電灯が気になったらしく、比較的涼しい夜道にその明かりで戻る事を考えたらしい。
(未だに何故同行したのか思い出せないが)誘われるがままに、男が私の懐中電灯を持ち、先導する形で歩き始めた。処が次第に足取りが重たくなってきた。男は軽装なのに対し、此方は30㎏の荷物を担いでいたからだ。当然疲労に差が出始めた。陽が昇り明るくなり始めると、男達は無情にも「Thank you!」と言って去って行った。
砂漠の道を照らす太陽で40℃位はあっただろうか?遂に昼前に体が動かなくなってしまった。上から下りてくる登山者に「大丈夫か?」と声掛けられても、出るのはため息だけだった。そして遂に、後から登って来た人に救助を求めた。暫くしてレンジャーがロバと共にやって来た。ロバの背中にしがみ付き、人目を憚りながら何とか一命を取り留めたのであった。
ホテルに入り鏡に映る姿を見て、骨と皮に干し上がっていたのには驚いた。それにしても、あの時のレンジャーは騎兵隊のようで恰好良かった。
No comments:
Post a Comment