Sunday, 29 September 2024

自民党総裁選が終わって

自民党の新総裁に石破茂氏が決まった。下馬評で名前が取り沙汰されてはいたが、決選投票では高市氏かと思っていただけに意外だった。それにしても5回目の挑戦でやっと射止めた総理の座、その執念がどこから来るのか分からないが、大したものである。

石破さんの力量は未知数だ。目つきが悪くオタクっぽい性格が果たして世界で通用するのか、一度自民党を出た出戻り組が仁義の世界で通用するのか、将又無派閥は聞こえがいいが、親分子分のない希薄な人間関係で運営できるのか、色々心配は尽きない。 

 ただキリスト教の信者と聞くと何となく信心深い真面目さが伝わって来るし、地方での人気は高いようだ。まずは日本丸の安全な航海を願って、お手並み拝見と行きたい。

 今回の選挙で、「この人だけは止めて欲しい」と思っていた人がいた。失礼ながらそれは進次郎氏である。あの環境相になった時に、COPの場で「(CO2削減は)セクシー」発言には仰天した。以来話せば話すほどボロが出るIQに至っては、とても日本を任せられる器ではないと思っている。竹を割るような話し方は一見痛快だが、政治課題はそんなに単純ではない。

 個人的にはバランス感覚に優れて温和な林さんがいいと思っていた。小林さんも若くて優秀、憲法改正への意欲もあるからいずれトップに就いて欲しいと思っている。

Monday, 23 September 2024

検疫の由来

読書の秋、面白いと固め読みするのが癖である。古くはクライブ・カッスラーやジャック・ヒギンズ、昨年はフレデリック・フォーサイスとシドニー・シェルダンに凝った。アマゾンプライムで頼むと、大体揃うので助かっている。

ジェフリー・アーチャーや吉村昭も長年のファンである。ただ何故か女性作家は肌に合わない。シドニー・シェルダンの本で、Tilly Bagshaweという女性作家が書いているシリーズがあるが、インパクトが全然弱い。

ところが最近、旅の影響か塩野七生さんに凝っている。男勝りの文章のタッチがいいし、歴史上の主人公への思い入れが伝わってくる。以前何冊か読んだ時、馴染みのない地名と人名が、しかもカタカナで連発されて閉口した。ただ実際にギリシャやイタリアをゆっくり廻ると、少し地理感覚が共有できるようになって来た。 

 中でも、12世紀のローマ皇帝を描いた「フリードリッヒ二世の生涯」は良かった。第六次十字軍を任され、エルサレムを無血開城した英雄である。改めて当時のローマ帝国は現在のドイツまで伸びていた事や、シシリア王国が南イタリアを含んでいたのは興味深かった。アドリア海に面するプーリア地方も寒村のイメージだったが、そんな事ならもう一度訪れてみたくなった。 

 処で余談だが、コロナで流行った「検疫」の英語はQuarantineである。イタリア語の40から来ている。中世にペストが流行った時、ベネチアに入港する船は沖合のラグーンで、潜伏期間の40日を待機したのに由来しているという。塩野さんの本には、こうしたこぼれ話も沢山出て来る。

Friday, 20 September 2024

中国人による日本人児童殺害

昨日中国の深圳で、通学途上の日本人児童が殺害された。犯人は中国人の男で前科があるという。動機はまだ解明されていないが、予てより中国人の事件が多発しているだけに、重大な局面を迎えた気がする。

折しも中国軍機の領海侵犯の矢先である。長崎の男女群島に中国軍の哨戒機は2分程、スクランブルを無視して情報収集に当たった。先月には中国空母が、日本の接続水域(EEZ)に初めて侵入する事態があったばかりで、こうした軍の攻勢が民意を後押ししている。 

 基より国内では、相変わらず中国人が絡む窃盗が多い。記憶に新しいのは、8月に能登地震で被災した会社から鉄板を窃盗した事件、6月にビックサイトで起きた宝石窃盗、今年初めに都内の倉庫からスニーカー窃盗など、小さなコンビニ強盗なども含めると、犯行の2人に1人は中国人が絡んでいる。

窃盗だけでなく、渋谷では通り魔の殺傷もあった。経済的に行き詰まると、同じような犯行に至るケースが起きる気がする。

 靖国神社の落書き事件もあった、それも二回。日本政府がどう対応したか知らないが、天安門に同じような事をしたら、大きな外交問題に発展するかと思うと、政府の対応にも不満が残る。

 日本に来る中国人観光客は爆買いをして観光地を回るが、日本人と話したり交流する話は殆ど聞かない。車内では喧嘩でもしているのかと思う程の大声で話し、道路に唾を吐き、ヒトにぶつかっても謝らない国民性に、以前から多くの日本人は眉をひそめて来た。

それでも危害を加えられる訳ではなかったので、見て見ぬふりを貫いてきた。ただ今回の事件をきっかけに、その我慢にも綻びが出始める気がする。

Tuesday, 17 September 2024

山岳レンジャーの救助

富士山に多くの外国人登山者が押し寄せている。オーバーツーリズムである。中には軽装で来るので、途中で体調を崩す人も多い。救助班の世話になっている人を見ると、「もっと準備して来いよ!」と思ってしまう。ただ不肖私も昔、彼らに助けられた一人だったから偉そうなことは言えない。

場所はグランドキャニオン、20歳の時だった。夏休みにアメリカの国立公園を軍用のシェラフ一つでキャンプして廻った時だった。満点の星を見ながらの野宿は快適であった。その日は、日の出と共に谷を下り始めた。

エンジェルトレールと称する灼熱の山道を歩く事13㎞、夕方には谷底に到着した。早速コロラド川に飛び込んで涼を取った。川沿いには多くの登山客が同じように寛いでいた。

 夕食を取りそろそろ寝ようかと思った時、アメリカ人の男二人組が寄って来た。「これから登らないか?」という。どうやら私の持っていた懐中電灯が気になったらしく、比較的涼しい夜道にその明かりで戻る事を考えたらしい。

 (未だに何故同行したのか思い出せないが)誘われるがままに、男が私の懐中電灯を持ち、先導する形で歩き始めた。処が次第に足取りが重たくなってきた。男は軽装なのに対し、此方は30㎏の荷物を担いでいたからだ。当然疲労に差が出始めた。陽が昇り明るくなり始めると、男達は無情にも「Thank you!」と言って去って行った。 

 砂漠の道を照らす太陽で40℃位はあっただろうか?遂に昼前に体が動かなくなってしまった。上から下りてくる登山者に「大丈夫か?」と声掛けられても、出るのはため息だけだった。そして遂に、後から登って来た人に救助を求めた。暫くしてレンジャーがロバと共にやって来た。ロバの背中にしがみ付き、人目を憚りながら何とか一命を取り留めたのであった。

 ホテルに入り鏡に映る姿を見て、骨と皮に干し上がっていたのには驚いた。それにしても、あの時のレンジャーは騎兵隊のようで恰好良かった。

Thursday, 12 September 2024

自民党総裁選に一言

自民党の総裁選挙が始まった。立候補には推薦人20人が必要という。各候補者は議員に電話攻勢しているようだが、この貸し借りが又新たな集団に繋がるのだろう。所詮政治は数である。裏金は良くないが、政治とはそういうものかも知れない。

 男女別姓が選挙の焦点になっている。本当かと疑いたくなる。そもそも何故旧姓を残さなくてはならないのか?よく分からない。女は生まれた家を捨てて男に嫁ぐ、男は外で働き女は家庭を守るのが日本の文化である。今の世の中がそうでないならば、昔を取り戻すのが政治である。

少子化の問題はそれに深く関係する。赤ちゃんが安心できるのはやはりお母さんである。近所でも平日に若いお父さんが、育休で子供と遊んでいるを見ると情けなくなる。そんなお母さんが安心して育児に専念できる環境が大事だ。男性社員の家族控除や扶養手当、子供支給も破格に上げたらいい。

 それには何より社会のダイナミズムを取り戻す必要がある。仕事の効率化、取り分け生産性を生まない仕事は止めた方がいい。その最たるものがコンプライアンス業務である。今の法令遵守は独り歩きしていて、法が人を縛る本末転倒になっている。所詮同じ日本人、逃げても逃げられない島国の国民性である。そんな文化を差し置いた外来の規制なんて即やめた方がいい。 

 もう一つは国と民間の関係だ。小さな国だから、役人と民間がもっと一体にならないと強くなれない。その為には同じ釜の飯を食い、大いに酒を酌み交わし日本の未来を語って欲しいと思っている。接待費なんてその対価を考えれば安いものである。いっそ青天井にして堂々とその交流をやればいい。優秀な人もまた霞が関に戻って来るだろう。

 選挙というとマニュフェスト、これもナンセンスだ。選挙公約は時と共に刻々と変化するものだ。それを金貨極上の如きに守るのは、お互いにとって不幸である。駄目なら次の選挙で投票しなければいいだけだ。外来用語を使ったキャッチフレーズは、往々にして女子供を煙に巻く常套句である。

Wednesday, 4 September 2024

熊の話

熊が各地に出没し被害が出ている。最近友人の家にも現れ、飼っていた鶏が食べられてしまった。毎晩やって来て、遂に七羽も死んでしまったと嘆いていた。

幸いそんな怖い思いはした事がないが、スポーツ店のゼビオの入り口に立っているヒグマの剥製を見ると圧倒される。悠に300〜400Kgはあるだろうか?森の中で対峙したら終わりだ。

 熊は今まで「パディントン」や「くまのプーさん」のイメージがあるから可愛い対象だった。顔も我が家の愛犬に何処となく似ているから尚更である。

 しかし吉村昭氏の「熊嵐」など読むと、現実に引き戻される。クマと人間の闘いは壮絶で、例えば人家を襲ったクマが食べるのはボリューム感がない子供より大人、それも女だという。射殺後に胃を切り裂くと、中から消化しきれなかったヒトの髪の毛や着物の切れ端が出て来るから怖い。

 因みに熊の肝は貴重品だったらしい。便秘や高血圧に効くと、熊を仕留めたハンターが持ち帰る習わしがあったそうだ。確かに今でも「熊膻圓(くまたんえん)」という薬が売られていた。ただ価格は普通だった。今時、胃腸薬で使う人も少なくなったのだろう。