そのセーヌ川の水質を管理しているのが、地下の下水処理場である。マルヌ橋の近くにある小さな階段を降りると、ゴーゴーという音と鼻に突く匂いが出迎えてくれる。昔から隠れたツアーとして有名だが、最近は博物館(Musee des Egouts de Paris)に格上げされていた。期間中にホームページを見たら、水泳の写真を掲載して安全性を強調していたが、終わると写真はなくなっていた。
パリの地下はこの下水道やかつては石切り場もあったので、巨大な空間が残っている。その距離は全長で2700kmと言われる。小説にもよく登場した。「レ・ミゼラブル」のジャン・バルジャンが負傷したマリエスを担いで逃げたり、フレデリック・フォーサイスの「マンハッタンの怪人」では、オペラ座の地下を流れる水路を伝って脱出した。
ただ気色悪いのは「カタコンベ」と称する地下納骨堂である。600万人もの骨が綺麗に積み重ねられ、薄暗い通路に沿って不気味な光を放っている。昔興味本位で覗いて見たが、ここだけは頼まれても二度と行きたくない。
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