例えばマラソン勝者が冠する月桂樹、ギリシャ語ではダプネ(Daphne)という。アポロンが恋した女性ダプネの名前から来ていた。彼女はアポロンの愛を拒み続けたので、月桂樹に変えられてしまった。以来忘れられないアポロンは、それを聖木として身に付けたという。だから男性ランナーならいいが、女性ランナーが貰うと霊が乗り移らないか心配になった。
アポロンは力強く容姿にも恵まれ、芸術センスもある理想像だったから、人々はそれに肖ろうとしたのだろう。因みに月桂樹は英語でLaurel、そう日産の車の名前である。今では誰でもおカネを出せば手に入れる事が出来る聖木なのであった!
オリンピアの聖火も、火を守る女神ヘスティア(Hestia)から来ていた。「火を灯す限りへルティアが宿る」と、平和と幸福の象徴であった。オリンピアで聖火採火を司るのが全員女性というのも、ヘスティアに重ねたのだろう。
会場になったパリのシャンゼリゼ(Champ-Elysees)もあった。英語だとElysian Fieldsになる。そのElysian(エリュシオン)はギリシャ神話の冥界の「楽園」の名前であった。一方開会式の舞台になったエッフェル塔が立つChamp-de-MarsのMarsは「戦いの神」だった。そんな由来に肖って場所選定をしたのかも知れない。
また紛らわしい呼び名もある。レスリングのグレコ・ローマン(Greco-Roman)なんて言葉を聞くと、文字通りギリシャ・ローマ時代を想像する。古代オリンピックの選手は全裸だったので、さぞかし凄まい光景かと思いきや、此方は1800年代にフランスで始まった余興の箔付け名称で、古代とは関係なかった。
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