一つは島村奈津さんの「シシリアの奇跡」である。シシリアマフィアを市民の立場から見た本で、良く情報収集をしていた。
マフィアと言えば、映画の「ゴッドファーザー」位しか知らなかったが、10年程前にコルレオーネ村を訪れてから興味を持っている。
マーロン・ブランド演じる主人公のヴィト・コルレオーネのモデルはLuciano Liggioという。彼は映画と違ってアメリカに渡った訳ではなかったが、コルレオーネ村の出身だった。
彼の後継がリーナことSalvatore Riinaであった。彼はアンブロシアーノ銀行頭取のカルビを殺害したバチカン事件の主犯であった。ゴッドファーザーのPart IIでもこの場面が出てきたが、彼もやはりコルレオーネ村の出身だった。
本ではサレミ(Salemi)という村のマフィア博物館を紹介していた。実はこの夏、遥々車を走らせ辿り着いたものの、休館日で入る事が出来なかったので助かった。
もう一冊は塩野七生さんの「ロードス攻防記」である。土産物屋を廻りビーチでゴロゴロしていただけのロードス島だったが、改めて1522年の攻防を解説して貰えると、感慨も一入だった。
例えば島の入り口に立っていた風車、それは北西風から船を守る為だったのだ。また島を守っていた騎士団、ロードス島を去ってからバルト海に移ったのがチュートン騎士団だったり、フランスに戻ったテンプル騎士団はフランス王に壊滅されたり、そしてマルタ島に行ったのがマルタ騎士団になったり。
彼らはマルタ島でまた築城を始めた。そして43年後の1565年に、押し寄せたトルコ軍の撃退に成功するのであった。町の名前のヴァレッタはロードス島から移った騎士で、ロードスの無念をマルタで晴らしたのであった。今では半分コンクリートだが、町全体を要塞化した風景を思い出しては、そのルーツに思いを馳せたのであった。
ロードス島の高台には騎士団長の館があり、今でも立派な部屋が残っていた。たった600人の騎士で、10万人のトルコ兵相手に5ヶ月も踏ん張ったのは凄かった。騎士とは何か、少し分かったような気がした。