映画「史上最大の作戦」は史実に忠実な作品で、ロケも殆ど現存する現場で行われた。ただ上陸のノルマンディーだけは、空爆で丘も変形してしまったため、中西部のレ島(Ile de Re)になった。以前わざわざ見に行った事があるが、確かに長く続く海岸線は映画のシーンだった。
レ島は近くのオレロン島と並び、牡蛎が有名な島である。夏になると観光客が訪れるが、コートダジュールが立派なホテルが立ち並ぶ上流階級向けなのに対し、車でキャンプする極めて庶民的な場所であった。
フランスの島は文化が凝縮していて面白い。有名なモン・サン・ミッシェルは言うまでもないが、ナポレオンの故郷コルシカ島には、モヤイ像のような古代遺跡が多く残っていて歴史を感じた。美しい島を意味するブルターニュのベル島(Belle Ile)には、黄色い口ばしを持つパフィンという珍しい鳥が生息していた。湾には立派なヨットが停泊していて、フランス人の豊かな生活振りを垣間見た場所でもあった。
レ島から桟橋を通ると、大きな港町ラ・ロッシェル(La Rochelle)に出る。ここはフランスにおけるプロテスタントの牙城で、ナントの勅令が出るまでカソリックと対立した歴史の町だった。
第二次大戦中はドイツ軍の潜水艦基地もあったので、今でも立派なブンカ―が残っている。その跡地でロケしたのがインディー・ジョーンズの「レイダーズ」であったと、それは最近知った。
吉村昭の「深海の使者」にも、大戦中に日本の潜水艦がUボートを引き取りに行った軍港が出て来る。ひょっとしてそのラ・ロッシェルかと思って調べたが、それは近くのブレストだった。