そんな矢先、先日とある酒屋でインド産のウィスキーを見つけた。Paul Johnという銘柄だったが、早速飲んでみると中々美味かった。何やら原料に廃糖蜜を使っているというだけあって、オレンジ感覚の不思議な甘みが印象的だった。
ホテルまで車窓から見た光景も強烈だった。ゴミが散乱する道には貧祖なバラックの家々が続き、中には泥の小屋もあった。鼻を衝く悪臭と人の多さに、東南アジアでもかつて見たことのない貧困を感じた。
ホテルは宮殿のように立派だったが、滞在者は敷地内から外出しないと教えてもらった。試しに一歩踏み出してみたが、泥道に糞尿が落ちているのでは?と思える雰囲気に、その意味も分かった。
一方で取引先の会社は清潔で大きかった。オーナーは世界的な馬主らしく、玄関に馬のブロンズが置いてあった。カースト制度は金持ちの家に生まれればいいが、汲み取り屋の家に生まれればそれを世襲しなければならない。会社で働いている人を見て、彼らはその呪縛から抜け出せた人かと思った。
先のウィスキー蒸留所は、ゴアというムンバイの近くの西海岸にあった。最近の経済成長で町の様子も随分と変わっているのだろう。不思議な国の不思議な味に、ふと昔を思い出したのであった。
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