Saturday, 23 March 2024

裏金と猫鞭の刑

3月は確定申告の季節である。真面目に納税している者からすると、自民党の裏金がどうして課税されないのか不思議でならない。受け取ったカネは明らかに雑所得である。金額も政治家も特定しているので、簡単だと思うのだが・・・。

その国税だが、昔「マルサの女」という映画があった。宮本信子演じる査察官が、死にそうな男の会社に架空融資を見つけたり、宗教団体の裏帳簿を発見する件はコミカルで面白かった。売り上げの過少申告もあった。彼女が遠くからカフェの様子を見ていたら、レジを全く打っていなかった事に気が付いた。

 ジェフリー・アーチャーの短編小説にも似たような手口が紹介されていた。「Cat O'Nine Tales(猫鞭の話)」の中に出て来る「Maestro」である。イタリアレストランのオーナーが脱税で捕まった。彼はテーブルクロスやナプキンの洗濯代を水増していた事が発覚した。査察官が実際にレストランに行って客の数を数え、クリーニング業者の伝票と突き合わせると、その3倍の量があったからだ。 

 脱税ではないが、やはり「Cat O'Nine Tales」の中に違法薬物を発見する話もあった。トラック運転手が頻繁にガソリンスタンドで給油するのを怪しんだ国境警察が、ガソリンタンクを叩くと各々違った音がして、大量の薬物が隠されているのを見つけた。

脱税は犯罪、犯罪者には猫鞭の刑、選挙も近いしどんな審判が下るのだろう。

Tuesday, 19 March 2024

バトルオブセックス

大谷選手の結婚で連日盛り上がっている。お似合いのカップルで誰しもが祝福しているのが伝わってくる。しかも新天地で、今後10年間のスタートに相応しいタイミングだった。

 ニュースではその大谷夫妻が韓国入りし、ドジャースのオーナー達との懇親会に出た写真が公開された。驚いたのは、夫妻が挨拶していたのはテニスのビリー・ジーン・キング(Billie Jean King)だった。何故彼女がこんな処にいるのだろう?そう思って調べてみたら、何とドジャースの共同経営者になっていた。

ロサンジェルス・ロジャーズの株主はヘルメットにも書いてあるグッゲンハイム(Guggenheim Baseball Management) であるが、その株主の一人がキング夫人であった。他にもマジック・ジョンソンなど富豪が入っている。

 キング夫人は60-80年代に活躍したテニス選手で、グランドスラムのタイトルを39も持つ女傑である。記憶に新しいのは1973年に行われた往年の男子選手ボビー・リッグスとの余興試合である。男女対抗戦(Battle of the Sexes)と呼ばれ、5セットマッチで行われたその一戦は、30歳の彼女が55歳のリックスにストレート勝した。折しも男女同権運動の最中、それを契機に女子テニスの賞金が男子並みに引き上げられたのだった。

 彼女はレズビアンを公言している。相手はイレーナ・クロスという女性だが、彼女もやはりドジャースの株主に名を連ねていた。そんな影響からか、ドジャースはLGBT night と称するLGBT者向けの特別企画もやっている。 グッゲンハイムはユダヤ財閥だし、大谷選手を通じてアメリカの多様なダイナミズムに触れるのであった。

Thursday, 14 March 2024

WCMの時代

来週は日銀会合がある。長らく続いた金融緩和もそろそろ終わりに近づいている。春闘の賃上げが大企業では上手く行っているようだが問題は中小だ。末端まで行き渡って初めてその準備が整う。何とか種火に火がついて欲しいと願っているが、日銀のかじ取りが気になる。

今の若い人は低金利の時代が長いから、金利には余り関心がないのかも知れない。ただ金利が上がってくると、個人資産や企業収益に直結するので見方も変わるだろう。昔は如何に金利の低いカネを調達して高金利で運用するか、金利には敏感でこのテーマの研修も多かった。

 思い出すのはWCM(運転資本マネージメント)である。運転資本は売上債権や在庫と仕入債務の差額である。当時のビジネススクールで流行った手法らしく、この+が大きければ資金余剰に繋がった。

中でも注目されたのが、負債で大きな部分を占める買掛金だった。買掛金の回転期間を長くして回転率を下げれば、その分手元資金の運用に多く廻せた。勿論取引慣習や仕入れ先の事情もあるが、これは未払金も同じであった。仕入先にどう交渉するか、結論はそう簡単に出るものではなかったが。

逆に売掛金は、回収期間を短くし回転率を上げればいい。その分手元資金が多くなり、金利収入が増える。販売先に毎日担当者が日参するとか、それも美人なら相手も軟化するかも?など、冗談も交えて真面目に議論した日が懐かしい。

Tuesday, 12 March 2024

罰金と国際指名手配

先日、オーストラリアの市役所から封筒が届いた。何か嫌な予感がしたが案の定、罰金の請求書が入っていた。夕方に買い物に行った際、路上駐車したのがいけなかったようだ。10分ちょっと止めただけなのに、300ドル(3万円)も請求された。地球の裏側まで追ってくる役所仕事に、何か国際指名手配されたような気分になった。

ネットで調べると、詫び状を出せば許して貰えたケースもあると知った。早速「悪うございました!二度とこのような事はしません!」と長々手紙を認めて出したが、果たして結果はどうなる事やら。

 旅をしていると車に掛かるトラブルは付き物だ。随分前だがロンドンで、車に戻ると車輪にロック装置が付いていた。警察で罰金を払い、パトカーに同乗しロックを外してもらったが、半日が台無しになってしまった。 

 クロアチアでは止めていたはずの車が無くなっていた。近くにいたタクシーの運転手に聞くと、レッカー車で持って行かれたという。レッカー場所はタクシーの運転手が知っていたので、郊外まで高いタクシー代を払って取りに行った。罰金も高かったし、まさか「レッカー会社とタクシー運転手がグル?」かと思える出来事だった。

幸い大きな事故はないが、バックしてきた車に当てられた事があった。ブルガリアの田舎町で、相手は老人だった。その日はこらから空港に向かう処で、本来なら警察を呼んで事故証明を取る処をすっかり忘れてしまった。幸い相手の運転免許書や現場の写真を沢山撮ったので、保険で全額カバーされ事なきを得た。

 処でその車保険だが、レンタカーを借りると結構な額になる。だから運転マナーがいいオーストラリアではあえて掛けない事にしている。「万が一の時は大丈夫?」と友人に聞かれるが、今の処無傷で済んでいる。

Monday, 4 March 2024

持ち株会で1億円

日経平均が遂に4万円を超えた。昨年末頃から予感がしていたが、今の相場は勢いが違う。これからも未だ上がり続けるのだろうか?それともバブルが弾けるのだろうか?素人には分かりようもないが、気になって仕方ない。

先日三菱商事のOBに会ったら、会社には「持ち株で1億円の社員」が続出しているという。持ち株会に入り、例えば毎月3万円を25年間積み立てると、投資累計額は9百万円になる。同社の平均株価は600〜900円程度だったので、少ない人でも累計の株数は1万株を超えている。今の株価は分割前で1万円なので、時価は少なくても1億円という計算である。

 商社株はバフェット氏が動いた昨年の夏ごろから急騰し始めた。あの時買っていれば!と後悔しても始まらないが、全く羨ましい限りである。普通の人が1億円の株資産なんて!何か落ち着かなくなってきた

 このタイミングで出版された清原達郎氏の「わが投資術」も、気になったので早速読んでみた。所得番付1位にもなった伝説のディーラーが、引退を契機に手法と哲学を開陳したという。「小型株のショート(空売り)」なんてとても真似できるものではないが、修羅場を生きた人の文章は張りがあって面白かった。(最後の)日本株の楽観シナリオも気になった。

Saturday, 2 March 2024

真綿のウクライナ避難民

ウクライナが侵略され2年が経つ。最初の頃は毎日伝えられる戦況に戦々恐々としていた。ただ最近では長引く戦争に、戦争疲れというか厭世気分が漂っている。アメリカの支援予算は滞ってきたし、最大の避難民受け入れ国であるポーランドで、国境を閉めたと聞くと猶更である。

以前から気になっていたが、遠く離れた日本にいると今一ピンと来ないもの事実である。ウクライナに行った事もないし、ウクライナ人とも話したことがないのも大きい。これでは遺憾と、三鷹にウクライナ避難民がやっているカフェがあると知って行ってみた。

それは昨年開業したという小さなレストラン&キャフェだった。入るといかにも素人と思われるウクライナ女性が2人で切り盛りしていた。メニューはハッシュドポテトに似たジャガイモや、豆腐ハンバーグのような郷土料理で軽食だった。

ワインも店に置いてあったのは数本で、ボトルで頼むとあまりそういう客はいないらしく驚かれた。 壁にウクライナの地図が掛かっていて、「あっ!ここがドネツク州、ここがワインのオデッサ!」と、日頃のニュースの世界と重ね合わせた。

日本へのウクライナ避難民は2000人強という。国に夫や家族を残して女手ひとつでこうして自活するのは大変だ。飲食業だから中には変な客もいるかも知れない。そんな心配を他所に、片言の日本語で頑張っていた彼女たちの姿が正に真綿に包まれていた。