例えば日本のスーパーでもよく見かける「黄色い尻尾(Yellow Tail)」というテーブルワインがある。本場でも日本と殆ど同じ価格で売っていたが、味は破格に美味しかった。「これって別物?」とも思ったが、ワインは揺れに弱いからその理由も頷けた。
特にラベルのユニークさは世界一である。フランスだと醸造所や産地・年代など規制が厳しから、ラベルを見るとグレードが直ぐ分かる画一性がある。オーストラリアはそれが緩いのか、勝手なネーミングで遊び心満載であった。
そのいい例が、先般書いた「19人の犯罪者(19 Crimes)である。19人(19種類)の犯罪者の顔写真は正に圧巻であった。また先のYellow Tailも、カンガルーをイラストしたいかにもオーストラリアらしい一品であった。三種類あってオーストラリアはShirazの産地とはいうが、個人的にはシャルドネ・ソ―ヴィニョンが気に入っている。 「パブロとペドロ(Pablo&Pedro)」というコミカルなワインもある。ラベルには「スペインの情熱に敬意を込めて」と書いてあったが、典型的なブレンド品である。パブロは小柄だ口煩い元気者、一方ペドロは大柄で大人しくエレガント、この二人(二つの味)が一緒になったのがこのワインという。中々旨い表現だと笑ってしまったが、10ドル(1000円)程で美味かった。もう一つ、「部屋の象(Elephant in the Room)」もあった。オークとスモーキーな香りは、部屋に象がいる匂いだという意味である。もう少し違う表現方法はないのだろうか?とも思ってしまうが、生産者の気持ちが伝わってきた。