そのトゥーロンは南仏の軍港である。いつか車で通った事があったが、フランスの町にしては驚く程に汚かった。だからミシュランでは、背後の山からの眺望を薦めている。
ところで映画「レ・ミゼラブル」の冒頭にもジャン・バルジャンがドックで船を引っ張るシーンが出て来るが、それもトゥーロンの造船所である。思えば時を同じくして物語の主人公2人が、奇しくもこの町から人生をスタートさせたのだ。
一つはナポレオンの世話をしていた男の話である。彼の名前はジェン・ユーという何と中国人だった。清皇帝の落とし子として生まれた彼は、中国から英国に渡り際に捕虜になりそこにやって来た。教養も高くどちらも捕らわれの身だった事もあり、ナポレオンとは話が合ったそうだ。
もう一つは、フランス側が遺体を引き取りに来て棺をを空けると別人だった話である。埋葬時と19年後の引取り時に立ち会った側近の証言が門儀を醸しだした。偽物は元ナポレオンの給仕に似ていた。着ていた軍服もパレード用正装から普通の軍服に変わっていた。そこで当時お棺を管理していた英国が、遺体をウェストミンスター寺院に運んだという噂が出た。パリのアンバリッドのお墓は今や一大観光地になっている。本当だったら滑稽極まりない。
またナポレオン自身の子孫は途絶えたが、アメリカに渡った末弟(ジェローム・ボナパルト)の話も紹介していた。ジェロームの孫はハーバードを出て、1935年に入ったのが捜査部(後のFBI)であった。ナポレオンの血が海を越えFBIに流れているという。
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