大阪万博まで1年半を切ってきた。参加国は153もあると言うのに未だパビリオンは一つも出来ていない。建設資材や人件費も上がって、政府は先日1000億円の追加支援を決定したが、本当に大丈夫だろうか?
作家の筒井康隆さんが「今からでも遅くないから止めたらどうか?」と言っていたが、全く同感である。そもそも巨大な箱もの陳列は、今の時代に即しているのか?甚だ疑問である。
昔ドイツ人と仕事をしていた頃、良く仕事の進め方で議論をした。日本人とドイツ人は共に気帳面な国民性だが、効率性で大きく異った。
それは意思決定のプロセスで、日本人は議論を積み上げるボトムアップ型なのに対し、ドイツ人はトップが方向性を出し部下がその裏付けを取るトップダウン型であった。彼らから「そんな事をしていたら、いざという時に引き返せないじゃないか!」と良く言われた。長時間掛けた部下の苦労を水に流すのは忍び難く、変だと思ってもついついハンコを押していた時だった。
今回の万博はそのいい例である。インパール作戦に準える人もいるが、正に氷山に向かって突き進むタイタニック号に思えてくる。
余談だが、前回の万博の特に岡本太郎の太陽の塔が話題になった。以来彼の芸術性が定着し、大した作品でもないのに持て囃されている。渋谷駅に掛かっている巨大な「明日の神話」はその典型である。原爆の惨事を描いた絵だが、朝晩の通勤で下を通る度に気分が悪くなった。同じように不快感を持つ人はいないのだろうか?