Monday, 10 July 2023

盗難のトリック

暫く前に、銀座で宝石店が白昼襲われた。犯人は逃走したが直ぐに捕まった。何と高校生も含む若者で、犯行の稚拙さが浮き彫りになった。それにしてもこの手の窃盗事件の殆どは、思いつきである。もう少し頭を使えないものか?と思ってしまう。

そんな気持ちにさせるのが、シドニー・シェルダンの「If Tomorrow Comes」である。その手口の要はトリックで、以下ネタ晴らしである。

例えばプロのチェッサー二人を相手に勝負してドローにする方法、これは同時に違う部屋で対戦し、プロAが指した駒をプロBに指すのであった。こうすれば素人でもドローに持ち込めた。

 オリエント急行内の宝石強盗もある。金持ちの女性の宝石を盗むのだが、汽車の中は隠す場所がない。唯一あるのが被害者のもう一つのバックである。予め同じバックを用意し、降車の時にすり替えるのであった。 

 プラド美術館からゴヤの絵画を盗み出す方法、通常ならセキュリテーでまず不可能である。これを可能にした手法は、一時の混乱に乗じて絵画の筆跡の上に偽の筆跡を上塗りし、再度ゴヤの筆跡を入れる。暫くして鑑定士と称する男が現れ、絵画が贋作と指摘する。美術館が慎重に筆跡を調べるとゴヤの名前の下から違う名前が現れる。世間体を気にした美術館がこっそり売りに出した処を安値で買う。犯人は持ち帰って再度偽名を消すと本物が現れるという仕組みであった。 

 その他、マフィアの子分への復讐もある。旅行バック、片道航空券、ボスの口座から大金の引き出し、逃亡先のホテルからの偽のコンファメーション等を用意し、ボスの事務所に送り付ける。 逃亡を確信したボスは怒るのであった。

昔上司が「青目には気を付けろ!」と言っていたが、つくづく西洋人の悪知恵には感心してしまう。

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