Monday, 19 June 2023

村上春樹考

先日TVを見ていたら、早稲田大キャンパス内にある村上春樹ライブラリーを紹介していた。毎年ノーベル賞候補に名前が上がるのは知っていたが、ここまで若い層に根付いていたのに驚いた。 

彼の本は昔一度だけちょっと齧った事があった。ただ数頁進む内に「これって俺のジャンルじゃないな!」と思って止めた。以来あえて避けていたが、「早稲田でも支持されているなら、今更だけど読んでみるか?」という気になった。

凡そ買う積もりもないので、知人に古本を借りた。有名な「1Q84」、「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の旅」そして「海辺のカフカ」と。立て続けに多少流し読みで、文章は平らだからどれも一日で読めた。処が相変わらず物語にストーリー性がないのが気になった。只管少年の話を聞く相談所の職員になったよう気分で、読んでいてイライラ感も募った。

実はそこがポイントで、友人は「その文章を味わうのが面白んだよ!」と窘められた。世間で評価されているのはその禅問答で、もどかしさがいいらしい。

 話はちょっとズレるが、日本の人口は1億人以上、GDPも世界三位と内需が大きいからあえて海外に出て行かなくても食べていける。若い人はそれに敏感で、だからどうしても内向きになって行く。村上作品はその層を上手く掴んでいる気がする。だけど登場人物の男も女も全く生気がない。特にしばしば出て来る性的描写は、極めて動物的で不快なのはどうしてなのだろう? 

 村上作品のタイトルは、ノルウェー、カフカ、レキシントンなど外国をモチーフにしているのが多い。1Q84に至ってはジョージ・オーエルとは全く関係ない女殺人者の話である。海外の人から見るとその辺の違和感がないのだろうか?

中々ノーベル賞に辿り着かない訳も何かあるのかも知れない。それにしても早稲田と云うと昔は硬派の塊みたいな人が多かったが、最近は随分と変わってしまった。

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