Thursday, 30 March 2023

クレディ・スイスの終焉

先日クレディ・スイスが破綻し、UBSが救済したニュースが流れた。折しもアメリカで立て続けに中堅銀行が倒産した矢先だったので、世界的な金融不安が過った。

クレディ・スイスといえば、嘗てのスイス三大銀行の一つだった。日本で有名だったのは銀行より証券会社のCSFBだった。多くの起債を手掛け、トップレフトにその名前があるとシンジケーションにグッと箔が付いた。今回もそれを梃に再建を図ろうとしたようだが駄目だった。

 もう一つの三大銀行だったSBCも、今から20年ほど前に破綻した。その時救済したのはやはりUBSだった。そのSBCが嘗て吸収したのが、有数のインベストメントバンクだったSG Warburgだった。ジークムンド・ウォーバーグが一代で築いて一代で終わった名門である。 

SG Warburgが飛躍したのは、1960年代から始まったユーロダラー市場の拡大だった。欧州に溜まった過剰ドルで数多くの起債を手掛けた。一対一の伝統的なバンカー資質が求められた時代でもあった。ジークムンドも地味な人間性を好み、「幸福とは勤労と義務遂行の副産物である」と仕事に献身した。 

陰りを見せたのが80年代だった。機関投資家の台頭で起債がマネーゲーム化し、質より量の時代になった。派手なサスペンダーに身を包んだトレーダーやセールスが脚光を浴び始めた頃だった。伝説的なバンカーの役割に灯火が差していた。

今回のクレディ・スイス破綻の原因も、ハイリバレッジ商品の失敗や、麻薬のマネロンなど行員のモラル低下による処が大きいと聞く。栄枯盛衰、スイスの銀行と言えば守秘義務の塊みたいな堅実経営を思い浮かべるが、随分変わってしまったようだ。

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