その店に入ると、これまた主人と言葉が通じない。困っていると「弟なら英語が分かるから待っていろ」と言う。暫くするとその弟がやって来て事情を話すと、「この村にはホテルはないが、ここの2階で良かったら泊めてやる」という。その晩は彼の厚意に甘えて泊めてもらったが、歩くたびに床が軋む古い家だった。
翌朝発とうとすると、昨日の弟がやってきて「村を案内してやる」と言う。折角なので彼の車に乗り、着いたのはオリーブ畑だった。彼の家はオリーブを営んでいた。瓶の中から作り立てのバージンオイルを試飲し、「どうだ旨いだろう!」と自慢する。やは現地で味わう作り立ては違う。
その次に行ったのは村の教会だった。中に入ると沢山の骸骨が服を着て陳列されていた。どうやら村人が亡くなると、こうして葬るのが仕来りだったようだ。大人も居れば小さな棺には子供もいた。不思議と気味悪くなく、イタリアの古い田舎文化のに思えた。
シシリー島はイタリアの中でも最も貧しい地域と言う。その貧困がマフィアを生んだのだが、至る所にギリシャの古跡が残り、ミシュランでも3つ星が8か所もある風光明媚な処である。シラクーサの町には映画カサブランカに出て来るようなアラブ人が屯ぎ、街道にはトラック運転手目当ての黒人娼婦が立っている。魚は新鮮だしワインも美味かった。出来ればもう一度行ってみたくなった。
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