Wednesday, 18 January 2023

シシリーマフィアの逮捕

先日、シシリーマフィアの大物マッテオ・メッシーナ・デナーロが逮捕された。30年の逃亡生活の末という。彼のボスだったサルバトーレ・リーナも24年の逃亡生活だったので、二人は同じ運命を辿った。

デナーロの罪状の一つが1993年5月のテロだった。以前読んだシルヴィオ・ピエルサンティの「イタリア・マフィア」にその事件が出ていた。ターゲットはTVのコメンテーターで、日頃からマフィアを風刺していた男だった。ローマで車が爆発し一人が死亡し30人以上の負傷者が出した。

シシリーマフィアに興味を持ったのは、10年ほど前にシシリー島を旅した時だった。映画ゴッドファーザーで有名なコルレオーネ村を訪ねたのが切っ掛けだった。ドン・コルレオーネを思い浮かべながら歩いていると、村人が全員マフィアに見えてきた。外に立っているのは殆ど男で、皆んな立派なスーツと革靴を履いていた。村の中央にキャフェがあったので思い切って入ってみた。一斉に視線が注がれたのが分かり、あわててコーヒーを飲むや否や退散した記憶がある。

ところでそのゴッドファーザーにも出て来るが、バチカンの汚職事件でロベルト・カルヴィ頭取が暗殺された件があった。ローマの橋から吊るされるシーンはショッキングで、そのスキャンダルを扱ったラリー・カーヴィンの「誰が頭取を殺したか(The Calvi Affair)」は最も面白い読み物の一つになっている。その殺害を指示したのが、今回のデナーロのボスだったリーナと分かり、過去と現在が繋がったのであった。

処でシシリー島の首都はパレルモである。先の本の中に「パレルモ住民の3/4はマフィアと何らかの関係者」と書かれていた。そんな事とは知らず、呑気にバールで飲んでいたかと思うと背筋が寒くなった。

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