Thursday, 5 January 2023

パリは燃えているか?

NHKBSの「映像の世紀」はいい番組である。たまに見るが、これならNHKをぶっ壊さなくて良かったと思える制作である。時代と言う濁流に押し流されながら、人々が逞しく生き抜く姿にいつも感動させられている。その映像を引き立たせているのが、繰り返し流されるあの重厚な音楽である。

たまたま「街角ピアノ」を見ていたら、その曲の作者である加古隆さんが軽井沢の自宅で奏でておられた。緑が映える美しいアトリエと、重苦しいメロディーはアンマッチングであったが、それは糸が張り詰めたような緊張感があって素晴らしい光景だった。改めて大きな感動を呼ぶ芸術家の力も感じた。https://www.youtube.com/watch?v=e0o3-dUvC2Y 

 曲の名前は「パリは燃えているか?」である。ラリー・コリンズの同名の作品が映画化され、こちらのテーマソングは弦を弾いた軽快なテンポだった。どうしてあえて同じタイトルにしたのか、こればかりは本人に聞いてみないと分からない。また結局パリは燃えなかったのに、どこからあの悲惨さが来たのだろう? 

 余談だが、「パリは燃えているか?」の小説は緻密な描写がとてもリアルである。例えば米兵士がシテ島のキャフェを出た瞬間に撃たれた件や、ヌイイ市役所の階段を戦車が昇るシーン、ノートルダム寺院の前で戦車戦が行われるシーンなど、ドイツ軍本部のムーリスホテルも現在もそのままなので読者はいつでもタイムスリップ出来る。

映画では若い頃のアラン・ドロンやジャン・ポール・ベルモントが華を添えていた。パリを破壊から救ったコルティッシュ将軍に対する感謝の念も後を絶たない。

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