昔ある外国文学界の功名な先生が亡くなった時、大量の食器を頂いた事がある。中には一度も使われていないイニシャル入りのヘレンドもあった。惜しげもなく使っている内に、いつの間にか消えてしまったが。有名な陶器は宮廷文化の名残である。所詮一般庶民とは無縁の文化だから仕方がないのかも知れない。
ただ旅の途中で出くわすと、土地の香りを嗅ぐようで旅に華を添えてくれる。
パリから130km程下ったロワール地方にあるジアン(Gien)は、多々ある古城と相まって華麗さがあった。面白かったのは二級品(2eme cru)と称する訳アリ品である。素人には何が欠陥なのか分からないが、安くてこれなら安心して使えた。
もう一つはマイセンである。ベルリンの壁が崩壊して間もなく、旧東ドイツを旅した時だった。ワイマールからドレスデンに向かう途中、その工場に立ち寄った。こちらは高価な芸術品といった印象で、ソ連時代の寒々しさも感じた。
ところで陶器は英語でボーンチャイナ(Bone China)である。歴史的な背景から来るらしいが、一般名称に国名が使われているのが気になる。
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