Saturday, 22 October 2022

ストックフォルムシンドローム

フレデリック・フォーサイスの「The Kill List」は、テロ犯の暗殺計画を題材にしている。タリバンやアルカイダに対し、CIAやモサドの支援を得た特務員が立ち向かう話である。 

舞台はソマリアやパキスタンで、馴染みのないアラブの地名に今一距離感を感じてしまう。ただ米議員が暗殺されたのがヴァージニア州のPrincess Ann Golf Clubであった。3年前にこの辺りを旅した時、近くのヴァージニアビーチで銃乱射が起きて13名の犠牲者が出た。偶然かも知れないが、その事件と重ねて親近感が出て来た。

小説の中で「ストックフォルムシンドローム」が出て来た。聞き慣れない言葉だが、誘拐した犯人と人質が一緒に過ごす間にフレンドシップな関係になる現象である。ソマリアの海賊が船を乗っ取った時、その船の船長と長時間過ごす内に、一体感が生まれる場面で使われていた。 

そう言えば、SNSで知り会った男と家出の少女が一つ屋根の下で暮らす内に、不思議な関係になるのもそれかと思った。また改革を掲げて当選した議員が、中枢に入って権力を持つようになると、人が変るのも似ている。

 本の中ではテロリストをPreacherと呼んでいた。直訳すればコーランの伝道者という意味だが、アラーの神の布教を世界的なネットワークで拡散する凄さにも感心してしまう。

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