思い出すのは、フランス中部の村、オラドゥール・シュール・グラーヌ(Oradour-sur-Glane)である。第二次大戦で連合軍がノルマンジーに上陸して間もない頃、この小さな村で大虐殺が行われた。理由はレジスタンスを匿った事だったが、女子供も含めて600人以上の村人が殺害された。
戦後ドゴールはその記憶を留めるべく、廃墟となった村を遺構として保存する事にした。随分前に訪れた事があったが、焼け焦げた車や市内電車のレール跡、集められて火を放たれた教会など、まるで昨日の出来事のような迫力が伝わってきた。静かな遺構を歩いていると、塀の陰から誰か出て来るようだった。
犯行に及んだナチの人物は勿論特定された。ただ結局裁かれる事はなかった。先日マイケル・バー・ゾーハーの「復讐者たち(The Avengers)」を読んでいたらその訳が分かった。彼らはエジプトに脱出したのであった。多くはアルゼンチンなどの南米に逃げたが、軍を強化したいイスラムの国々も受け入れたのであった。
アイヒマンに象徴されるユダヤ人のナチ戦犯の追跡は有名である。戦争が終わればそうした復讐が始まるだろう。戦火を交えた場所に一般人が観光で入れば、その機運は一層高まる気がする。
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