そんな中友人のHさんから「読んだからあげるよ」と、トムクランシーの「北朝鮮急襲(Into the Fire)」を貰った。座礁したアメリカのフリゲート艦の艦員を人じきに取ろうと暗躍する北に対し、救出を試みる米情報機関の話である。
ただ北の動機が公海の石油掘削権だったので、そんな事で戦争するかな?と思った。トムクランシーの情報力にはいつも感心するが、小説として今一つ着いて行けないのはこういう点かもしれない。
ケンフォレットの最新作「Never」も北朝鮮の暴走を扱った小説である。食糧不足も限界に近づき、遂に核の使用に打って出るギリギリの設定である。
北の持つサハラ砂漠の金鉱や違法越境に紛れ込む情報員、中国/北/米のインテリジェンスの裏の接触など、流石ケンフォレットだと思う構成だった。
気になったのは、何方の小説も米大統領は女性であった。ケンフォレットの場合は、チャドに駐在する情報員の主人公や、日本の首相までも女性であった。その為、娘と接する母親や同僚に恋する中年女性の部分に結構ページを割いていた。それが物語を豊かにしているのだが、一方でスリルと緊張を求める方には生温さを感じてしまった。
処でこの間一髪の作戦を、英語でskin of the teeth operation と言うらしい。ケンフォレットの英語はとても読み易く、何より原書は臨場感が違うと改めて思った次第である。