Friday, 29 July 2022

人の中で生きる

又コロナ感染が拡大している。慣れっこになっているとはいえ、いつ終わるとも知れない不安が付き纏う。 

コロナ禍で人と人が集まる機会が減っている。今まで義理で集まっていた事が多かったので、かえって煩わしさが減って喜んでいる人は多いのではないだろうか?ソーシャルディスタンスは意外と快いものである。

そんな中暫く前に、テニス倶楽部の✖️✖️周年のパーティーがあった。100人以上の人が集まり皆オシャレしてやって来た。いつもの運動靴姿に見慣れていると別人に見えた。中には和装でめかし込んでくる奥方もいて、思いの外華やかな雰囲気になった。 

 外賓の祝辞が終わると乾杯で交流が始まった。壇上には次々と会員の人が登り、沢山の思い出を述べていた。ここで結ばれた夫婦もいて、倶楽部は生活の一部と言っていたのが印象的だった。

 家に戻ると数々の記憶が甦ってきた。入会して間もない頃に優しく声を掛けてくれたAさん、肉離れを起こしKさんに担がれた事、仕事疲れでトスを上げるとクラクラした事もあった。勤務先の破綻が新聞の一面に載った時は辛かった。いつものように顔を出すと、何故か皆目を伏せて余所余所しい。そんな時にMさんが遠くから声を掛けてくれた。あの時は嬉しかった。 

 そんな事もあり、俺はやはり人の中で生きて来たのを再確認した次第だった。たまに集まりに出るのも悪くないもんだ。

Sunday, 24 July 2022

ガリツィアの日本人

佐々木譲の警察物はあまり読まないが、海外小説はとても面白い。「ベルリン飛行指令」や「エトロフ発緊急電」「ストックフォルムの密使」など、著者はよく調べたと感心する。特に「ベルリン飛行指令」は、ゼロ戦2機で遥々南ルートでドイツまで飛ぶ壮大さが気に入っているし、「エトロフ発緊急電」も開戦間際の緊張が伝わってくる。
  
ふと最近、他に何かないだろうか?と探してみたら、「帝国の弔砲」が出て来た。ロシア革命を挟んで、ロシアに移住した日本人一家の数奇な運命を描いた小説であった。主人公の最後は日本に戻りロシアのスパイとして働くのだが、当時のロシアの様子がよく描かれていて面白かった。 

その中にウクライナのガリツィアが出て来た。今ではポーランド国境に近い南西部の地域は、嘗てはバルザックが恋人を慕い遥々パリから通った時はポーランドの土地だった。そしてそれ以前はオーストリア帝国の傘下にあった。

物語では、駐留するオーストリアの大公を拉致する作戦に主人公が参加した。 ガリツィアには行った事はないが、昔はポーランドやハプスブルグ、最近はやはりソ連の一部だった事がよく分かる。ウクライナになってからの歴史は本当に短いのだった。

Saturday, 23 July 2022

ゴッホのStarry night

先日スコットランドで、ゴッホの自画像が新たに発見された。「農婦の頭部」の裏側にエックス線を当てると浮かび上がったと言う。ゴッホほど世界的に愛される画家もいないから、また一つ話題が増えた。 

ゴッホの絵画は世界中に散らばっていて、どこも美術館も目玉である。アムステルダムのゴッホ美術館は元より、NYやベルギー、見た事はないが日本の安田火災もバブルの時にひまわりを買った。映画「遠すぎた橋」の舞台になったオランダ・アーネム(Arnhem)のクレラー・ミューラー美術館(Kröller Müller Museum)も有名だ。ミシュラン3つ星のというので随分前に週末を使ってパリから車で行ったが、正に遠すぎた場所で帰るに難儀した。
 
ゴッホを身近にしてくれるのは、彼が晩年を過ごしたパリ郊外のオーヴェール・シュール・オワーズ(Auvers-sur-Oise)だろう。有名な「ガシュ医師」や「教会」、「麦畑」など当時の風景がそのまま残っているから、その場に立つとタイムスリップした気分になる。彼の部屋や弟のテオと並ぶお墓にお参りすると、ちょっとした小旅行になる。

 処で「星月夜(Srarry Night)」という作品がある。彼がゴーギャンとの別れ耳を切った後、入院した南仏のサンレミ・ド・プロバンスで描いたものだ。アルルのレストランで夜食事をして外に出ると、同じような色彩に改めて感動した記憶がある。 

その絵画を歌った「ヴィンセント(Vincent)という曲もある。昔カラオケ通いをしていた時、誰かが素晴らしい声で歌っていたのを聴いた。以来そのStarry,starry nightで始まる曲はお気に入りの一曲になっている。ただ夜空の青をChina Blueと表現いるのが、未だに何故Chinaなのか分からないが。

Monday, 18 July 2022

身体の黄金比率

ちょっと前の本だが、 ダン・ブラウンの「ロスト・シンボル」は面白い作品であった。ワシントンを舞台に相変わらずの謎解きをする。議事堂の地下の部屋やオベリスクの位置など、興味満載であった。 

 最大のオチはその犯人像であった。フルーメイソンの最高位を継ぐスミソニアンの館長の家族が何者かに命を狙われるが、最後に犯人は死んだはずの息子だと分かる。勘当同然の不祥息子が、親の秘密を暴きに戻って来たのであった。

読み終わってふとマッカーサー元帥を思い出した。あの英雄にも一人息子がいた。ただ親父が余りにも有名だったが為に、成人するとNYのソーホーに消えたという。何方も偉大な親を持つ悲劇であった。 

本の中に黄金比率の話が出て来た。1:1.618の究極の美比率である。ダビンチのモナリザの顔の縦横、ピラミッドの床と側面積、螺旋階段などに古くから使われている。 

ラングドン教授によると、ヒトのヘソから足元と身長、又肩から指先と肘から指先までも黄金比率という。早速巻尺を持って来て測ってみると大体合っていた!身近な謎解きはトレビアであったのだ。

Saturday, 16 July 2022

迫力満点のトップガン

毎日よく雨が降る。また梅雨に戻ったようで、天候の不順に振り回されている。こんな時は映画館に行くに限ると、今話題の「トップガン マーヴェリック(Top Gun : Maverick)」を観に行った。平日の昼だと言うのに、満席で人気の高さを伺えた。 

主演のトム・クルーズは、相変わらず格好良かった。いつもの革ジャンにカワサキのオートバイを乗り回し、爽やかな笑顔と引き締まった体は昔のままだった。今年で60歳というが、前作から36年も経ったとはとても思えない。そのせいか、前作がまるで昨日の出来事のようでスッと受けれられた。

最初の「トップガン」は1986年、彼が24歳の時だった。旅行でカプリ島に行った時、地元の人から「最近トム・クルーズがここに別荘を買った」と言っていた。思えば長い間トップスターをやっている。 

作品を見ていて快かったのは、他の出演者も身体も鍛え抜いていて、本物のパイロットを彷彿とさせた事だった。撮影では出演者が訓練を経て実際に搭乗したと書いてあったが、トム・クルーズの拘りが作品をよりリアルにしていたのは確かだ。 

そんな彼は予てよりADHD(注意欠陥、多様性障害)を患っている。イチローやアインシュタインなど兎角天才と言われる人も罹る精神障害であるが、彼の一途で強い思い入れはそこから来ると思っている。

作品は兎に角迫力があった。噂の通り実際のジェット戦闘機を使った映像は、まるで観客自身が搭乗しているかのような感覚だった。息を飲むとはこの事で、特に後半の戦闘シーンは一時も目を離せなかった。最後も昔の恋人と嘗ての名機ムスタングで飛び立つなど、格好良さも満載の映画であった。

Friday, 15 July 2022

旧統一教会の献金

安倍氏の襲撃犯の動機が、旧統一教会の献金だったと問題になっている。先日の教団の記者会見を見ていたら、最低でも収入の1/10は義務という。これはキリスト教会の慣行らしいが、改めてその大きさに驚いた。

幸い今まで宗教被害に会った事はなかった。ただ周囲には結構トラブルになったケースは多い。K君は大学に入学すると原理主義の宗教に誘われ、半ば監禁状態に置かれた。親御さんが助けに行って取り戻したので助かった。やはり学生時代の友人I君もその一人だ。卒業して銀行に勤めたI君だったが、見合い結婚した相手が問題だった。夜になると蠟燭に火を灯してお祈りを始めたと言う。何の宗教だったか忘れたが、暫くして別れたと言っていた。

若い女性も街を歩いていると、「貴方には背後霊が付いています!」と声を掛けられる。「えっ!」とビックリして話を聞いてしまったら最後、取り込まれてしまう。教会に通う内に外国人神父に惹かれ、神様とごっちゃになってしまう悲劇もあった。 

宗教に走るのはそれなりの事情がある。今回の事件のような経済的理由や家庭からの逃避、近親者の死等々。勿論代々教会に通う敬虔な信徒が殆どだろうが、どうしても陰の部分の方に目が行ってしまう。

近所にも旧統一教会の支部がある。沢山の子供が出入りするちょっとした町の集会場である。事件以来、献金で生活が困窮しているのではないか?不動産まで売って破綻した人はいないのだろうか?将又一体どういう家庭の人が入っているのだろう?と、気になり始めている。

Thursday, 14 July 2022

晋太郎氏への思い

安倍さんの葬儀で、麻生さんが代表して弔辞を読まれた。盟友としての率直な語りに、多くの人の共感を誘ったようだ。その中で「天国で晋太郎さんにやって来たことを胸を張って報告すればいい」みたいな件があった。父の急逝を受けて政治家になっただけに、人一倍その継承には強い思い入れがあった。

随分前だが、ひょんなご縁で旧官邸を見学した事がある。二二六事件の時に撃ち込まれた弾丸の痕や兵士が野営した焚火の跡など、昭和の歴史が沢山詰まっていて面白かった。最後は組閣の時に記念撮影する赤い絨毯の階段で写真を撮ったり、地下の和室でお弁当を食べて散会になった。 

その中に(今では殆ど使われていないが)総理の執務室もあった。机の上には(当時は安倍政権だったので)晋太郎氏の写真が飾られていた。安倍さんはよくお墓参りをしていたし、麻生さんの弔辞を聞いてその事を思い出した。 

その見学会だが、途中でひょっこり安倍首相が現れた。記念撮影に華を添えて頂いたが、テレビで見るオーラがあった。当時は国会期間中で、昼休みを使って地下通路を歩いて来られたという。ワシントンの議事堂地下には議員宿舎と繋ぐ地下鉄もあるようだが、こちらも色々秘密が隠されているようだった。

ともあれ奇しくも父と同じとはいえ、67歳は余りにも早すぎた。嘸かし無念だっただろう。

Wednesday, 13 July 2022

安倍さんの訃報

先週の金曜日、ゴルフの前半が終わり食事に入ろうとした時だった。ニュースで安倍さんが撃たれて心肺停止という。一緒に廻っていたMさんと共に一瞬絶句した。

 あれから未だ一週間も経っていないのに、世の中が大きく変わった気がする。昨日は葬儀が営まれた。テレビで見ていたが、増上寺から永田町を経て桐ケ谷斎場までの沿道に多くの人が詰めかけていた。改めて国民に愛された指導者だと思った。

会場ではご自身が奏でる「花は咲く」が流されたという。それを聞いて早速Youtubeで見てみたが、安倍さんがピアノを奏でるとは知らなかったので驚いた。震災を想う曲がまさかご本人を偲ぶとは想像もしなかっただろうが、そのお人柄が伝わって来るようで感動した。 

 ピアノは子供の頃に習ったという。元より生まれと育ちには恵まれた人だったので、これも自然の才能だったのだろう。そんな処が好きな人と嫌いな人に極端に分かれたらしいが、人の好さと品格、ユーモアを兼ね備えた稀有な政治家であった。 

安倍さんには「桜を見る会」で何度かお目に掛った。未だに何が問題だったのかと思うが、芸能人や各界の著名人、各国の外交官など華やかな中心に安倍さんは良く似合った。いつも挨拶の終わりに即興の一句で華を添えた。「風雪に耐えて5年の八重桜」をにこやかに謳っていたのを思い出した。 

ご冥福をお祈りすると共に、長らく日本のリーダーとして頑張って来られた事に改めてお礼申し上げたい。

Monday, 4 July 2022

ワシントンDCの秘密

今から3年前にアメリカの東海岸を旅した。ウイリアムバークやゲティスバークなど、建国の歴史に触れたかと思うと、海軍兵学校のアナポリスや世界最大の軍港ノーフォーク、英霊の眠るアーリントン墓地など、近代アメリカの原動力になった聖地も訪れた。

改めてアメリカという国の大きさに圧倒された次第だが、特にワシントンDCのスミソニアン博物館に至っては、膨大な歴史の収集品は凄かった。

全部で19もある博物館などとても廻れる時間も無かったが、世界の歴史が全部集っているようだった。中でも近代美術品や飛行機は面白かった。ルネッサンスや印象派絵画、日本の零戦・紫電改や月光始め、あのエノラ・ゲイも目の前にすると、何十年前の日々が蘇ってくるのであった。 

そのスミソニアン博物館であるが、先日ダン・ブラウンの旧著「ロスト・シンボル」を読んでいたら、展示しているのは全体の2%に過ぎないと書いてあった。残りのお宝は支援センター(SMSC)と呼ぶ機構が管理しているらしい。一体アメリカの富って何なの?と改めて驚かされた次第だ。

「ロスト・シンボル」の物語は、その館長が誘拐される処から始まる。例によってハーバード大のラングドン教授が登場し、謎を解きながら核心に近づく展開である。

今回の舞台はそのワシントンDCであった。一昨年暴徒に襲撃された連邦議事堂も出てきた。あの時は建物が被害に会ったが議員は無事だった。何と地下には議員宿舎まで繋がる議員用の地下鉄で逃げたという。小説では地下の秘密部屋に、フリーメイソンの祈祷の間もあった。

物語の犯人はその儀式の映像を撮ったので、国家機密を危惧したCIAにも追われた。結局読者はどこまで本当でフィクションかなのか分からない。ただ例の1ドル札のデザインが、13段のピラミッド階段、13本の矢、13本のオリーブの枝などが、アメリカ建国13州とは偶然な数合わせなのだろうか、ピラミッドのプロビデンスの目も気になる。大きな力が今の世界を作っているのかも?と、ふと思ってしまう。

Saturday, 2 July 2022

G7のエルマウ城

先日ドイツでG7サミットが開催された。各国の首脳は、美しい自然をバックに記念撮影していた。会場はバイエルンのエルマウ城(Schloss Elamau)という。そんな処あったけ?と気になったので調べてみた。

名前は城(Schloss)だが高級リゾートホテルであった。2015年のG7の会場にも使われたという。ホテルはどちらも「隠れ家」と呼ぶ二つの棟からなっていて、The Retreatは一部屋960〜2100ユーロ、The Hideway は700〜1090ユーロと、日本円にして凡そ10万円から30万円であった。

戦後になってここで独英音楽フェスティバルが拓かれ、ヴァイオリンのメニューヒンやピアノのケンプも参加した。その名残なのか、今でも各種コンサートが催されてるようだ。施設内には立派なSPAもあり、登山だけでなくセレブがゆっくり過ごせるようになっていた。

勿論行った事はないが、地図で見るとフラスコ画で有名なミッテルワルドの近くだった。ミッテルワルドは家々の壁に絵が施され、それが目の前の岩山に映えてそれは美しい町であった。

その山はドイツ最高峰のツークシュピッツである。一回目は登山電車、2回目はロープウェーで登った。どちらも夏で空気が澄んでいたのだろうか、3000m近い山頂から見下ろすドイツアルペン街道の家々が驚くほどくっきり見えた。

G7では、馬に裸で乗ったプーチンを揶揄する発言があったという。こんな雄大な景色を前にすると、誰しも気持ちが大きくなるのも分かるような気がした。北に100km行けばミュンヘン、東に30kmでオーストリアのインスブルック、西にリンダウ湖を超えればスイスである。南に下ればオーストリアの先にイタリアが拡がる。そんな見どころ満載の土地柄であった。