そんな最中、昔の本だがダグラス・ボイドの「外人部隊(原題:The Eagle and The Snake)」を読んでいると、こちらもお宝の話だった。物語はフランスの外人部隊の生き残りが、ベトナムのディエン・ビエン・フーで金塊を取り戻す話である。金塊は兵隊の給料であった。白い帽子と呼ばれる元傭兵たちが、退役後に同じメンバーで現地に戻る件は中々読み応えがあった。
金塊と言えば、浅田次郎の作品で映画にもなった「日輪の遺産」もあった。物語はマッカーサー財宝を、軍がフィリッピンから持ち去り日本の山中に隠した処から始まる。その額は現在の価値で200兆円というから凄い。競馬場で知り合った老人が、死ぬ前にふと漏らした事からその存在が発覚する。大金を持っているとつい他人に云いたくなるようだ。
またナチの黄金を扱った映画、「ネービーシールズ(原題:Renegades)」も面白い作品だった。湖底に沈む金塊2000個を海兵隊員が奪還する。舞台がボツニアという辺鄙な場所や、ナチが村ごと湖底に沈める隠匿は中々リアルだった。
黄金は人の心を迷わすと言う。普段あまり縁がなくても、小説にちょっと組み込ませただけで、俄かに活気付く魔力がある。言わんや現物なら尚更である。