Monday, 18 April 2022

アスクレピオスの杖

岡山県で、全長2mのヘビが行方不明になったという。取るに足らない話だが、あんな気色悪い生き物をペットにする人の気が知れない。時々山道を歩いていると小さなヘビに出くわすが、思わずゾッとするのは私だけではないだろう。

そんな嫌われ者のヘビだが、実は善玉のようだ。世界保健機構(WHO)のロゴにこの蛇マークが入っているので、前から気になっていた。

由来はギリシャ神話に出て来るアスクレピオスという「治療の神」から来ているようだ。彼が持つ杖にはその蛇が絡んでいる。「毒をもって毒を制す」の意味もあるようで、実はヘビは人間の味方だったのである。 

インド人もヘビを神格化している。フレデリック・フォーサイスの短編「アイルランドにヘビはいない」は、ヘビを使った復讐劇である。

アイルランドに住むインド人学生は、ある時現場の主人に嫌がらせを受けた。その仕返しにインドからヘビを持ち帰り、主人のポケットに忍び込ませた。(アイルランドにはヘビは生息しないから)主人は、始めそれをトカゲと思って侮っている内に、噛まれた毒が廻り死んでしまう。インド人にとってヘビは神が遣わした「死の使い」だった。

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