その生き様は、フィリッピンの島で戦後29年も隠れていた小野田さんに似ていた。ただ国に尽くすという点では同じだが、運命を受け入れ時代に逆らわずに生きる生真面目さは、如何にもドイツ人らしかった。
舞台になったオークニー島を10年ほど前に旅した。フェリーで揺られること3時間、3000年程前の石器時代の遺跡や、最北のウィスキー醸造所のハイランドパークなど、旅情たっぷりの島だった。
小説では主人公が港町ストロムネス(Stromness)でセーリング・マスターという名のパブを経営していた。名前こそ違ったが、全く同じようなパブの2階に泊まったので物語に入り込んだ気分になった。
開戦時にここで、Uボートが戦艦ロイヤルオークを撃沈した話も出て来た。ウィスキーで有名なScapa Flowで主人公が誘導してスパイの仕事をするのだが、知っていれば旅のメニューが増えていた。
No comments:
Post a Comment