Wednesday, 23 February 2022

拳(こぶし)の季節

我が家に樹齢50年以上になる柿木と紅葉があった。柿木は2年ごとに大きな実を付けるのはいいが、熟して落ちると後片づけが大変だった。特に塀を超えて隣に落ちた実を回収するのが厄介である。秋が終わる頃になると、ピンポン鳴らしてお隣に「すみません、柿の掃除をさせて下さい」と出向くのはいつも気が引けた。落ちた実は殆どがカラスの食べかすだった事もずっと癪だった。 

そんな事もあり、先日思い切って伐採した。伐採は電動シャベルを持っている植木屋さんに頼んだ。木を切るのは簡単だが伐根の処理が必要だったからだ。当日は親方を含め3人の衆が来た。休憩を取りながら4本の木を処理し、最後は綺麗に整地してくれた。切った幹や枝も綺麗に分類し、流石プロの仕事は違うと思った。

これで今まで暗かった庭も明るくなったし、家とのバランスも良くなった。代わりに背丈ほどの紅葉を一本植えると、新築の家のよう庭になった。 

木を切るのは罪悪感が伴う。ご先祖様に申し訳ないような気持に似ている。ただいざ切ってしまうと、新たな息吹が吹き出すのが分かる。いい例が何年か前に枯れた桜の木である。覆い被さっていた桜の木が無くなると、2年程して隣の拳(こぶし)が大きくなり始めた。 

沢山の白い花が、まるで「桜の代わりに頑張ってます」と言わんがばかりである。改めて自然の逞しさを感じるのであった。今年もその拳が開花する季節がやってきた。

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