Friday, 11 February 2022

ジャッカルとアルジェリア

フレデリック・フォーサイスを固め読みしている。昔読んだ「ジャッカルの日(The Day of the Jackal )」も久々に読み直してみたが、とても50年前の作品とは思えない。やはり古典は色あせないと言われるが、これもその一冊であろう。 

物語はドゴール大統領の暗殺を試みる英国人と、それを阻止するフランス人警部の話である。映画にもなり、ナポレオン街道を北上しながら次々と姿を変えて欺く流れは見応えがあった。特殊な銃や偽造パスポートの製造、成り済ましのテクニックなど、中々普段知り得ない裏社会も面白かった。

ただ今回気になったのはその動機であった。なぜドゴールは狙われる事になったのか?それはアルジェリアの独立と関係していた。アルジェリアはフランス領だったが、ドゴールが1962年に独立を承認した。それを機に移植したフランス人は追い出された訳だが、過激派は秘密軍事組織を作って抵抗したのであった。旧ソ連の崩壊と同じで、梯子を外された人の怒りは大きかった。 

そのアルジェリアと言えば天然ガスや石油の宝庫である。日本のプラント会社も早くから製油所やLPG精製所を受注していた。サラリーマンの駆け出しの頃、それに関係した仕事をしていて、東京湾から機材の積み出しの船を見に行った事があった。船長室に案内されランチをご馳走になった。昼だと言うのにウィスキーも出て来て、すっかりご機嫌の一日になった。今から思えばその頃は、そんなアルジェリアに住むフランス人の事情など知る由もなかった。

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