Thursday, 3 February 2022

石原さんを偲んで

石原慎太郎氏が亡くなった。享年89歳だった。直接お会いした事もないし著書も読んだことがないが、その強烈な個性と行動力で多くの話題を提供して頂いた。ご冥福をお祈りします。

思い出すのは東京都が尖閣を買い取る寄付である。今から思えばあれが契機で今の緊張感が生まれたかも知れないが、石原らしい決断だった。新銀行東京の設立は上手く行かなかったが、排ガス規制や複式簿記の導入は中々画期的な施策だった。

そんな石原氏だが、10年ほど前にスコットランドのネス湖を訪れた時だった。現地の人から日本からも探索しに来た人がいた話を聞いた。時は1973年、ちょうど彼が青嵐会を立ち上げた頃であった。有志を募ってネッシー伝説を確かめに2カ月滞在したという。それにしたも遥々こんな所に?と、その好奇心と遊び心にお人柄が偲ばれた。 

結果は勿論何も見つからなかった。それもそのはず、ネッシーの写真は偽造だったからである。おもちゃの潜水艦に恐竜の首を付けて撮影したのは外科医であった。その家族が50年後に告白して真相が明らかになった。それまでは、写真は泳ぐ鹿や流木ではないか?との多くの説や、実際にソナーやミニ潜水艦を使って潜った人もいた。石原さん達もその一人だった。当時はまだ41歳、奥さんが大学に通い始めた頃で、子供達も小学生や中学生で若かった。

ネッシーはいないと分かっても、未だにネス湖を訪ねる人は後を絶たない。森に囲まれた水面を見ていると、行った人なら誰もが「ひょっとして首を出すかも?」と期待を寄せてしまう神秘性がある。今回の訃報を聞いてそんな事を思い出した。

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