Saturday, 22 January 2022

スパニッシュ・ハーレム

随分前だが、アフリカの過激派ボコ・ハラムが女子学生を誘拐した事件があった。黒いベールを被った少女が捕らわれ座らされる姿が目に残っている。あるナイジェリア通の人が「ナイジェリアは石油が豊かで英語が通じる」とその将来性を称えていたが、そんな事件を知るとまだまだなあ!という気になってきた。

ナイジェリアは行った事も無ければ、知っているのは悲しいかなボブ・オロゴン位である。その彼も、Youは何しに日本へ?のナレーションで中々いい味を出していたかと思ったら、妻への暴行で逮捕されてしまった。やはり狂暴な国民性なのだろうか?とその時は思ったりした。

いま固め読みしているフレデリック・フォーサイスだが、「戦争の犬たち(The Dogs of War)」はそのナイジェリアの内戦、ビアフラの独立支援を題材にしていた。物語は独裁が続くアフリカの国に豊富なプラチナが眠っている事が分かり、大統領を殺害として傀儡政権を目論む話である。タイトルとは裏腹に、受け皿になる会社の買収や武器調達などの準備に多くを割いて面白かった。改めて西洋人の金儲けはこうしてやるのかと、その大胆さと周到さに驚かされるのであった。

子供の頃に聞いたビアフラは飢饉の代名詞だった。結局独立は失敗し今のナイジェリアに組み込まれた。敗れたのはキリスト教徒のイボ人、勝ったのはイスラム系のハウサ人、ここでもバルカンのような宗教対立が根にあったようだ。 

本の最後に主人公が、スパニッシュ・ハーレム(Spanish Harlem)の曲を口ずさみながら森に消えるシーンがある。早速Youtubeで聴いてみたが、中々ニヒルなメロディーだった。「石炭のように黒い瞳」の一節も、アフリカに命を賭けた傭兵と重なった。傭兵を一度やると二度と表の社会には戻れないと主人公も言っていたが、そんな運命が伝わってくるのであった。

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