Friday, 10 December 2021

アメリカに残る日章旗

太平洋戦争の開戦から80年、然したる記念行事もない中、愛媛県で「真珠湾攻撃隊十勇士」の史跡を建立したニュースがあった。ハワイ真珠湾に侵攻した特殊潜航艇の乗組員を祀る記念碑である。従来は9軍神だったが、これで晴れて捕虜第一号となった酒巻氏の名誉が回復し良かった。早速資金援助を兼ねて「酒巻和男の手記」を取り寄せた。

その酒巻少尉のミニ潜水艦であるが、9年前にアメリカのテキサス州を旅した時に偶然遭遇した。その時の話は、本ブログの2012年12月8日付「テキサスに眠る特殊潜航艇」で紹介させてもらった。場所はニミッツ提督の故郷のフレドリックスバーグで、ドイツのブレーメンから移り住んだ祖先がここでホテルを営んでいた。その広い敷地に「国立太平洋戦争博物館」を建造し、太平洋から持ち帰った日本の戦車やアメリカの魚雷艇などを陳列していた。 

その中にその特殊潜航艇もあった。ハワイで回収された後、戦意高揚のため全米を廻り最後はこの地に落ち着いた。鑑は綺麗に塗装が成されていた。酒巻少尉を紹介するパネルもあり、タバコの火の痕が残る写真と共に、戦後トヨタブラジルの社長を務めた経歴が書かれていた。敷地の一角には東郷元帥宅の庭を模した日本庭園もあった。日本政府のカネで作ったようだが、こんな寂しい場所に置き去りにされた潜水艇のせめてもの慰めに思えた。

アメリカを旅しているとこの手の博物館が実に多いのに驚く。2年前に廻った東海岸でも、立派な国立海兵隊博物館やノーフォークの軍港に係留する戦艦ウィスコンシン、マッカーサー博物館、スミソニアン博物館など、出征の寄せ書きが残る軍旗や日本軍の武器を展示したヴァージニア戦争博物館では「何でこんな所にあるの?」と思った。

外から見ると日本がよく分かると云うが、正にこれはその典型で、我々の知らない日本が
残されている。まだまだマサチューセッツやニューオーリンズ、グアムにもあるというのでその内行ってみたいと思っている。

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