No Time To Die
007の新作「No Time To Die」が公開されたので観に行った。子供の頃から見続けたジェームズ・ボンドも今回で25作目という。今回で最後になるダニエル・クレーグも52歳なら、ジェームズ・ボンドも退役生活を送っている処から始まるなど、シリーズも終わりに近づいてきた感がした。観る方も歳をとってきたせいか、激しいカーチェイスや銃声、爆音を聞いているとどっと疲れるようになった。若い頃は劇場から出ると、暫くジェームズ・ボンドになり切っていたので隔世の感である。
その新作だが、冒頭に古いイタリアの町が出て来た。どこかで見覚えがある風景で、初めはシシリア島かと思った。帰ってからロケ地を調べてみたら南部のマテーラ(Matera)だと分かった。石灰岩の山肌を切り抜いた洞窟に人々が暮らしている町である。もう30年近く前になるか、実際に行ってみた時は洞窟に住んでいたのは怪しげな人達で、怖くなって退散した記憶がある。
もう一つはカーチェイスを繰り広げる森と川である。「あれ?これってSkyfallの時と似ている」と思ったら、やはりスコットランドだった。ただあの時はグレンコーで今回はケアンゴーム国立公園だった。グレンコーはそれは美しい渓谷が続き、スコットランドの悲劇と重ね合わせると神聖な気持ちになる場所である。ただ今回のケアンゴームは、ウィスキー醸造所が立ち並ぶ海沿いから内陸に入り観光ルートから外れていたので知らなかった。
007の映画はロケ地を巡る裏話やこぼれ話が面白い。昔日本が舞台になった「007は二度死ぬ」では女優の若林映子が泳げないのでショーン・コネリーの奥さんが代行したとか、スタッフの帰りの便が墜落したとか、随分前に撮影の村となった鹿児島の坊津町の記念碑を訪れてから急に身近になった。あれから数多く出て来るラブシーンも、前で奥さんが見つめる中の撮影かと分かり、ジェームズ・ボンドも楽ではないと思うようになった。
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