Saturday, 16 October 2021

ユニークな子供達

子供の頃、文京区の目白に住んでいた。細川庭園や山縣有朋の椿山荘など、緑多い環境に遊び場には事欠かなかった。今の聖マリアカテドラル大聖堂が建っている場所は、空き地でよく草野球をした。近くの銀行の頭取宅には大きな池があったので、守衛の目を盗んでは忍び込みオタマジャクシなどを捕った。

田中角栄邸もあった。まだ切り売りする前の広大な敷地で、勿論入った事はないが、小石川高校出のインテリ八百屋が様子を教えてくれた。彼は卒業して実家を継ぎ、その経歴が角栄さんに気に入られた。角栄さんの威力は町内会のお祭りにも発揮され、お神輿を担ぐと沢山のお土産が貰えた。

地元の公立小学校は、今から思えばユニークな子供たちが多かった。食堂をやっていたK君の家は貧しかった。だから服は普段着と体操着の2枚しかなかった。体操の時に普段着を、普段の時に体操着を着る姿に子供でもそれは分かった。クラスの親分は質屋の女の子だったり、在日のS君もいた。S君は体が大きく手を振り上げては頭を掻く仕草で威嚇するのが癖だった。洗濯屋、印刷や、乾物屋、薬屋など店の子供が多く、畳屋のH君もいた。H君は大きくなって実家を継いだが、銀座のイタリアンでクラス会をやった時、仕事着でやって来て入店で断られたのには申し訳ない事をした。

そんな思い出一杯の目白だったが、最近テニス仲間で雑談していたら「俺も目白に住んでいたんだ!」と何人かが名乗りを挙げてきた。和敬塾から本郷に通っていたKさん、日本女子大裏に下宿していた早稲田のSさん、都電の江戸川橋に住んでいたNさんなど、写真家のKさんも同じ学校の先輩だと分かった。「コロナが晴れたら目白で飲みましょう!」とう事になっている。そろそろその時が訪れそうで楽しみである。

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