フランスのマクロン大統領が就任した時、彼の結婚話が話題になった。奥さんは彼の友人の母親で、15歳で恋に落ちてから14年の歳月を経て結婚に漕ぎつけた。二人の歳の差は24歳というから正に親子である。当時は冗談に「子供の友達が家に来ると気を付けないと!」と、世のお父さん達が心配した。ただ恋の世界は広いとは云え、これは例外かと思っていた。ところがケン・フォレットの「ピラスター銀行の清算(A Dangerous Fortune)」を読んでいると同じような話が載っていて、西洋では決して珍しい事ではないのかも?と思えてきた。
小説は美貌の母親と、南米の事業家になった息子の友達の話である。息子の友達はある時、銀行の頭取になった母親の息子に融資依頼をする。息子はリスクを考えて一度は謝絶するが、息子の友達は母親との関係を使って融資に漕ぎつけるのであった。ところが心配していた通り、それは不良債権となって銀行が潰れてしまう。物語としてはやや稚拙な処は歪めないが、恋もここまで来ると狂気である。
小説には一昔前の英国が出て来る。サーカスの曲芸師の女が上流階級の男と結婚するサクセスストーリーや、当時台頭してきたユダヤ系の銀行に対する世間の抵抗感など、ロンドンの賭けも出て来る。一匹の犬と60匹の鼠を戦わせ、どちらが生き残るかを競うのである。最初は犬が次々と鼠をかみ殺すが、残り10匹になった辺りから犬に疲れが出始め、最後は鼠に食われてしまう。日本でも闘犬はいるが、英国では結構残虐な遊びをしていたようだ。
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