ティミショアラはハンガリー国境にも近いので嘗てはハプスブルグ帝国の一部だった。イスラムとキリスト教が混ざり合う土地柄、民族のアイデンティティを確認していたのだろうと思った。
それから東を目指して車を走らせ、夕方になったのでディーバという小さな町で泊まる事にした。「ホテル」の看板が中々見つからないので、ガソリンスタンドの人に聞くと、ペンションと書いた民宿を教えてくれた。ベルを押すとおばさんが出て来て、手振り身振りで話すとOKが出た。「近くに食事できる所ある?」と聞くと、「私が作ってあげる」と言うのでご馳走になった。素朴な肉料理だったが、甘いルーマニアワインを飲むと旅の実感が湧いて来た。
そのディーバという町は最近、女子体操のコマネチの故郷だと知った。今では女子体操協会の本部が置かれているらしいが、当時はそれを知る由もなく、丘の上に聳える古城跡に登り町を見下ろした。
コマネチはオリンピックで有名になった後、チャウシスクの息子に関係を迫られ最後は米国に亡命した。そのチャウシスクも悲劇的な最後を遂げ、あれから30年以上が過ぎた。彼女の波乱万丈の人生のスタートがこの小さな町だったか!と、アルバムを見て改めて思うのであった。
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