Monday, 13 September 2021

カジノと横浜

横浜の市長選が終わり、予想外の大学の先生が当選した。自民党が推した小此木さんが敗れて菅さんまで総理を退く原因にもなったし、元知事の田中、松沢氏も落ちる散々な選挙だった。

争点だったカジノは、これで実現は困難になった。以前からカジノについては抵抗が強かったので、妥当な結果だと思う。そもそもカジノはギャンブルや賭博と思っている人が多いが、元々は社交場の娯楽で綺麗なイメージがある。ラスベガスやマカオの大型施設はむしろ例外で、一般的にはこじんまりした佇まいである。本来カネを賭ける事はあまり得意ではないが、今まで行ったロンドンはサラリーマンが仕事の後に立ち寄る倶楽部の雰囲気だったし、フランスの避暑地ドーヴィルはモネの絵に出て来るような華やかさがあった。エストニアのタリンは外が寒いせいか、暖を求めて若者が集う場所だった。そんな文化もない国が、突然大型施設を作るIRなんてやはり無理があった。また「カジノはギャンブル依存症になる」と言われるが、もっと懸念されるのは、行く場所がない男たちの溜まり場になる事だ。朝から仕事もせずにルーレットの前でブラブラ過ごす姿を考えただけでも、廃案になって良かったと思っている。 

その横浜だが、吉村昭著「アメリカ彦蔵」を読んでいると、日本で最初に新聞が出来た町だという。破船漂流してアメリカに渡った彦蔵がアメリカの通訳として帰国し、今まで伝聞に頼っていたニュースを紙にしたのが始まりだった。面白いのは、日本語に弱い彦蔵がその道のパートナーを探すのに、外国人経営の洗濯屋の情報網に頼った事だった。その甲斐あって辞書で有名なヘボンに仕える日本人を見つける事が出来た。横浜は当時まだ寒村で、江戸に出れない外国人の街だった

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