Thursday, 24 June 2021

博士の異常な愛情

福井県の美浜原発3号機が再稼働された。40年を超える原発の再稼働第一号という。これで現在稼働している原発は10基になったのだろうか、当初は40年で廃炉する話がいつの間にか60年になり本当に大丈夫なのだろうか?心配は尽きない。そう言えば1年で1ミリシーベルトだった被曝許容線量も、いつの間にか20ミリシーベルトに引き上げられた。素人は何が本当なのか知る術もないが、コロコロと緩和される基準に不信感が募るのも無理ない。

原発は福島の事故で全基を停止した。都会の町は節電で薄暗かったのを思い出すが、それでも2年間は全く停電が起きなかった。それにも拘わらず又いつの間にか再稼働が始まりこれで10基になったのだろうか?喉元過ぎれば熱さは忘れるというが、同じ過ちを繰り返しているような気になってくる。況や未だ立ち入りが禁止されている被曝地域があったり、核のゴミ処理場も未解決というのに・・・。何となく透けて見えるのは、それに携わっている人たちの思いである。政府始め電力会社、メーカー、銀行、大学、マスコミなど原子力を仕事にしている人は多いが、皆んな異常な執着を持っている。それはケタ違いのお金から来るのか、将又原子力という最先端に携わるエリート意識なのか分からないが、外から見るとやはり特殊である。 その執着心が大きなモメンタムを生んでいる。

随分昔の映画だが、スタンリー・キューブリック監督の「博士の異常な愛情(Dr.Strangelove)」という作品があった。副題が「私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったのか」の通り、原爆投下に異常な愛着を持つ人達をパロディー化していた映画である。観ていて分かるのは、原爆の持つその大きな破壊力である。人は一度その力を知ると取り付かれて果ては狂人化するのである。ワーグナーの歌劇「ニーべリングの指輪」や「ロード・オブ・ザ・リング」も世界を支配する指輪の話であったから似ている。独断で核攻撃を指示する司令官のモデルは、広島に原爆を落としたカーチス・ルメイというオチまで付いていたが、一度その力を手に入れると又使いたくなるようだ。

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