Sunday, 20 June 2021

タンタンのコンゴ

先日、中国の原発で放射能漏れが出た。中国政府は勿論否定していたが、面白かったのは解説で登場した日中協会の日本人専門家だった。元IAEAの某氏は同じように「心配はない」を繰り返していた。IAEAは原子力の推進者だから、懸命に中国をかばっていた姿が印象的だった。中国の原発は核兵器と一体となっているから怖い。昔作家の上坂冬子が上海の秦山原子力発電所に取材に行った時、来賓室で見せられたのは原爆実験の映画だと言っていた。
 
思えば最近、それと知らずに原発に関わって来た事に気が付く。例えばフランスで「タンタンの冒険(Les Adventures de Tintin)」という、国民的人気を誇った漫画があった。云わば「のらくろ」のフランス版だが、主人公の少年がアフリカのジャングルで活躍する件がある。今から思えばそこはベルギー領のコンゴ(今のザイール)で、当時ウランの一大産地であった。タンタンはその案内人だった。また人質救出の映画「ワイルドギース(Wild Geese)」もある。リチャード・バートン演じる大佐は、コンゴ動乱で活躍したアイルランド人のマイク・ホアーがモデルであった。脱出した飛行機が着陸するのがローデシアだから、強ち舞台はそのコンゴだったのだろう。こちらもイギリスを巻き込んだウラン獲得の主導権争いだった。 

また最近のコロナ渦で、国立感染症研究所の所長さんがよくテレビに登場する。(広瀬隆氏の請負だが)実はこの研究所の前身は国立予防衛生研究所(予研)で、広島、長崎の原爆被害の研究機関だった。アメリカのABCC(原爆傷害調査委員会)が、マンハッタン計画の続編として戦後間もなく日本に作った支部であった。まさか今回はアメリカ製ワクチンのモニターをやる訳ではないだろうが、ひょんな処で細菌と原子が結び付いた。

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