Wednesday, 5 May 2021

銀行家の死

暫く前にRon Chernowの大作「モルガン家」と「ウォーバーグ」を読んだ。勿論翻訳版であったが、それを友人のモルガンに勤めていた人に云うと、「ああ、House of Morganね!原書で読んだの?」と聞かれ返事に困ってしまった。それから暫くして、書棚にやはりRon Chernowの「The Death of the Banker」の原書があるのに気がついた。いつ買い求めたのか?きっとどこかの空港の書店で目に入ったのだろう?忘れて眠っていたのだった。こちらは100頁程度と薄いので、だったらこの際チャレンジしてみようという事になった。ところがいざ読み始めると見知らぬ単語がやたらに多い。丹念に辞書を片手に紐解いて行くうちに、2週間で500語程になっただろうか?改めて自身のボキャブラリーの無さを痛感したが、おかげで精読出来た。

本書はモルガンとウォーバーグに代表される銀行家の時代が終わって、今に至る質から量の時代を俯瞰している。先の大作にも出てきたが、戦後アメリカで個人投資家が台頭し、ソロモン・ブラザースやメリルリンチなどのインベストバンクが老舗に取って代わる様子を分かり易く解説していた。アメリカを中心にした大量の引き受けとドレーディングの時代が、伝統的なシティーの論理に取って代わったのであった。 

 兎角我々の知る銀行は競争が厳しく、晴れている時に傘を貸し、雨が降ると取り上げる、言わば顧客を差し置いて自己の利益追求する会社になってしまった。日本もそうだろうが、古き良き時代はもっと高貴で役割も大きかった。一体何をやっているのだろう?という気持ちになってきた。

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