愛犬が急に食べなくなった。動物病院に連れて行くと脾臓が膨らんでいる事が分かった。放っておくと手遅れになるので手術をするなら早い方がいいと言われた。ただ手術をすると、術後の命も短くなる話はよく聞く。老体にメスを入れ、1週間も見知らぬ病院で過ごすのも可哀そうだ。悩んだ挙げ句、最後は自然体で過ごす事に決めた。今回はまだ9歳にもならないから余りに早かった。頭を撫でながら、1日でも生きて欲しいと祈っている。
そんなある日、家の前で大きな望遠レンズのカメラを持った人がいた。カメラが此方を向いているし、自宅を撮影しているのかと思って、「何をしているのですか?」と聞くと、「その桜の木にシジュウガラの巣があるのですよ!」という。近づくと木の隙間からピーピーと雛が鳴く声が聞こえてくるではないか。その人は野鳥愛好家で、親鳥が器用に巣からフンを取り出す様子などを撮った写真を見せてくれた。以来時々その木の下に行って、雛鳥の鳴き声を聞いて楽しんでいる。パブロ・カザルスが「鳥はPeace! Peace!と鳴く」と言っていた。そう思うと余計幸せな気分になる。
終わりが近づいて来た愛犬と 新たに生命を宿りこれから巣立ちを迎えるシジュウガラ、2つの命が交差しようとしている。
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