Saturday, 1 May 2021

孫文の日本滞在

暫く前だが文京区に行った時、時間があったので白山神社に寄った。高台にある小さな寺だったが、庭に孫文の碑があった。孫文のモチーフには「孫文先生座石」と刻まれてあった。どうやら近くに住んでいた宮崎滔天という浪曲家が彼を匿っていたようで、その縁で寺にもよく寄った因縁らしい。それにしても意外な所で意外な人と出会った。

孫文は辛亥革命で清国を倒して中華民国を作った生みの親である。ただハワイ出身の客家(ハッカ)だった事もあり、革命後の実権は軍人の袁世凱が握った。その後も蒋介石の国民党に移って行ったので、彼の表舞台は辛亥革命までで終わった気がする。それはそれとして、昨年はその辛亥革命(1911年)から数えて100周年の記念すべき年だった。こうして多くの日本人が孫文を支えた事を思うと、「近代中国は日本が作った!」と言っても過言ではない。確か歴史家の宮脇淳子さんも同じような事を言っていたが、マスコミは何故この事実をもっと取り上げないのだろう?とても不思議である。

勿論、今の中国共産党はそうは言ってはいない。習近平体制にとっての100周年は2049年だからである。スタートは中華人民共和国が建設された1949年にしている。何を始めとするかは、今を正当化する上でとても大事である。毛沢東の共産党も国民党に勝って初めて表舞台に出て来たし、そもそも外国からみれば、孫文も蒋介石も毛沢東も所詮は皆大陸内部の話に過ぎない。やはりアンシャンレジームの清朝が滅亡した1911年が近代代中国の出発点なのである。この事がはっきりすると、お互いの立ち位置も変わってくる。

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