Thursday, 1 April 2021

胃はデリケート

愛犬が急に食べなくなった。いつもの食べ慣れたドックフードだが、特別にミルクを掛けてやっても見向きもしない。もう9歳になろうとしているゴールデンレトリバーである。寿命は10年ちょっとというから遂に来るべき時が来たのだろうか?それにしても変化は突然やってくるものだ。しかしひょっとして味に飽きたのだろうか?3日位して試しに高価なゼリー状のドックフードをやってみた。すると「待ってました!」とばかり食べ始めたのには驚いた。少しホッとしたが、嫌いなモノは頑として受け付けない老犬ならではの知恵だった。

人間も同じである。病気の時は特にそうだが、環境が変わると食べられない事がある。いい例が東南アジアに赴任した人の現地食である。初めは抵抗感があるが、毎日親しんでいる内にすっかりローカルフードのファンになってしまう駐在員が多い。ところが不思議なもので、いざ帰国の辞令が出るとその途端に喉を通らなるという。やはりどこかで頑張っていたのかも知れない。現地化意欲は騙せても味覚は嘘を付かない。 

食に厳しいのはインドやイスラムの人達である。ヒンズー教は牛、イスラム教は豚が駄目である。来日したインド人と良く食事に行ったが、カレーに入っている肉を時間を掛けて取り除くのには参った。ユダヤ人には寿司屋でカニを出して失敗して以来、甲殻類はご法度だと知った。ただ多くの人はそれらしき固形物がある時は避けるが、目視出来ない原料まではあまり気にしないようだ。日本で食を堪能している様子を見ていると、その辺の使い分けを上手くやっている。気は心、それにしても胃は思いの外デリケートである。

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