Sunday, 7 March 2021

タイタニック号の呪い

数年前に北アイルランドの首都ベルファーストを訪れた事がある。この町の観光スポットはタイタニック博物館である。以前は寒々しいドックヤード跡だったが、テーマパークのような設備を入れ、訪れた人が当時を体験出来るようなアトラクションも備えていた。やはりデュカプリオの映画がヒットしたことが大きかったようだ。土産物屋を覗くと、「(タイタニック号を)造ったのはアイリッシュだが、運航したのはイングリッシュ」と書いたマグネットを売っていた。北アイルランドは英国に組み入れられたとは言え、まだまだアイルランド人の思い入れの強さを感じた一コマだった。

そのタイタニック号を保有していたのは英国のWhite Star Line汽船であった。ところが最近ウォーバーグに続いてやはりRon Chernowの「モルガン家(The House of Morgan)」を読んでいたら、White Star汽船はアメリカのIMM(International Mercantile Marine)の子会社だった事が分かった。そしてIMMのオーナーはJP Morgan の二代目John Pierpontであった。その為、船の命名式には彼がベルファーストにやってきて、自身の専用ルームを見て回ったという。 

その一年後、運命の航海で船は沈没して1500人の犠牲者が出た。当然JP Morganも船の豪華さ故に安全性を問われ、その心痛と老いが重なったのか、Piermont は事故から1年も経たないで亡くなった。タイタニックを巡るエピソードは多く、ローズの婚約者だったホックリーという富豪は救助船に乗って助かったものの、1929年の大恐慌で拳銃自殺している。やはり女子供に紛れて救助船の乗って助かったバックレーという青年も、第一次大戦で戦死したがそれは終戦前日だったり、何かタイタニックの呪いを感じるのである。

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