暫く前だがベルギーの女性が、前国王のアルベール2世の隠し子だった事が判明した。長年の法廷闘争に終止符を打ったのはDNA鑑定だった。女性は晴れて王女になったが、自身の父親がはっきりした安堵感は何よりだったに違いない。隠し子ではフランスのミッテラン大統領にも愛人との間に発覚した事があった。ただこちらは公然と開き直っていたので、やはり国王と政治家では少し事情が違うようだ。
自分の親が誰なのか?これが分からないとさぞかし不安で心細いだろう。最近のコロナニュースで、生活支援の食糧配給所に並ぶ男性がインタビューに応えていた。顔は伏せてあったが、「自分は孤児院で育ったので家族というものを知らない。その上コロナで隔離された生活が続くので、最近では結婚して家庭を持ちたくなった」と語っていたのがとても印象的だった。
孤児について、ドイツのレーベンスボルンの話が心に残る。アーリア人増殖の目的で人工的に出産された子供達である。TVのドキュメントで知ったのだが、戦後大きくなって出自を知る過程は残酷であったし、それを隠し通した母親の苦悩も凄かった。また旅で訪れたルーマニアのブカレストでは、ストリートチルドレンに気を付けろと言われた。チャウシスク時代に親に捨てられた膨大な数の孤児が治安を悪くしていた。彼らは被害者なのだが、大きくなると加害者になったのが何とも痛ましい。かつてエストニアに住んでいた時、アパートの通りの名前は「孤児院通り(ラステコド)」だったり、モンテクリスト伯でも捨てられた孤児が成長して親に復讐する件があったり、兎角この手の話題は尽きない。
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