Tuesday, 26 January 2021

ウイグル地区のジェノサイド

先日、退任を前にしたポンペオ米国務長官が、中国共産党について言及した。その中でウイグル自治区などの圧政の触れ、「これはジェノサイド(民族浄化)だ」と非難して話題になった。ウイグル自治区については、以前から強制収容や不妊手術などが漏れ聞こえていたのでさして新しいニュースではなかった。ただ今や入植を続ける漢人とウイグル人の数がほぼ同じになってきたので、本当に民族が消滅しようとしているのかも知れない。

ジェノサイドと言えば、何と言ってもナチスのユダヤ人殺害である。3年前にポーランドの強制収容所巡りをした体験から、何か今回のウイグル自治区と似たようなものを感じた。

一つは首都から遠く離れた人目に付かない土地柄だから成せる技である。香港や台湾なら出来ない事でも、ウイグルやチベットなら隠せる人の心理である。ユダヤ人の収容所はドイツ国内のダッハウやチェコのプラハ郊外のテレジンなどにもあるが、それは経由所で何日か滞在した後に最終処理場のポーランドに送られた。有名なのはアウシュビッツであるが、近くに旧都のクラコフがあるので人目に付き易かった。そのため更に奥地のソ連国境に沢山の施設を作った。例えばトレブリンカやマイダネクなど、とても全てを廻る事は出来なかったが、その敷地面積はアウシュビッツの比ではなかった。ただでさえも何もないポーランドの大地にあって、これ以上寂しい場所はなかった。  

もう一つは差別意識である。ユダヤ人の場合は劣等民族だったし、今回のウイグル人も(漢民族から見ると)下等市民になるらしい。大量殺害が本当ならば、大きな犯罪である。それこそ中国人が言うメンツが潰れるし、党の存続にも影響するだろう。どこまで隠し通せるか?将又どこまで事実が解明されるか?一見小さなようで実は大きな問題に思える。

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